2022年春闘の幕開けとなる「経団連労使フォーラム」が25日、開かれた。岸田文雄首相が「成長と分配の好循環」を掲げ、連合は賃金を底上げするベースアップ(ベア)2%程度と定期昇給相当分を含む4%程度の賃上げを主張。ただ、経団連は新型コロナウイルス禍に伴う企業業績の格差から一律の賃上げは難しいとの立場で、「分配」がどこまで行き渡るかが焦点だ。
 コロナ感染拡大後、2度目の春闘となる。原材料価格の高騰が企業の重荷となる一方、ガソリンや食料品の値上がりなど物価の上昇が家計の負担になっており、労使は難しい交渉を迫られる。
 首相は昨年11月、業績がコロナ禍前の水準に回復した企業に3%超の賃上げを期待すると表明。首相は「新しい資本主義」の実現を提唱しており、経団連は今春闘の経営側指針で、好業績企業はベアを含め「新しい資本主義の起動にふさわしい賃金引き上げが望まれる」と応じた。
 経団連の十倉雅和会長は、フォーラム冒頭のあいさつで、「働き手との価値共創で生み出された成果を適切に分配すべく、賃金引き上げと総合的な処遇改善に取り組むことが重要だ」と述べた。
 ただ、好調な輸出を背景に業績が回復した製造業と、回復の遅れる宿泊・飲食業などとの格差が広がっている実情も踏まえ、経団連は一律の目標設定は見送った。手当や一時金も含め、企業経営の実態に応じて対処する構えだ。
 これに対し、連合の芳野友子会長はフォーラムでの講演で、「企業が成長しても分配されないことに大きな問題がある」と、賃金低迷が続く現状を批判。「社会全体の底上げや格差是正の動きを強めていく」と強調し、中小企業や非正規労働者、働く女性などの格差是正を幅広く求める考えを示した。
 経団連と連合のトップは26日に会談。電機や自動車などの労働組合は今後、要求書を経営側に提出し、3月16日の集中回答日に向けて交渉が本格化する。 (C)時事通信社