米・Beth Israel Deaconess Medical Center/Harvard Medical SchoolのJulia W. Haas氏らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンのランダム化比較試験(RCT)12件・4万5,380例を対象にシステマチックレビューとメタ解析を行い、副反応を心配する被検者の心理的不安に由来するノセボ効果について検討。その結果、プラセボ接種群における全身性副反応の発現率は1回目接種後で35%、2回目接種後で32%に上り、ワクチン接種群との比較から1回目接種後では全身性副反応の76%、2回目接種後では同52%がノセボ効果に相当することが示されたとJAMA Netw Open2022; 5: e2143955)に発表した。今回の結果を受け、「ノセボ効果についても情報開示と教育を行うことが有用である」としている。

1回目接種後の局所性副反応はプラセボ群16.2%、ワクチン群66.7%

 Haas氏らは、医学データベースMedline(PubMed)およびCochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)に2021年7月14日までに掲載された論文を検索。16歳以上の成人を対象に不活性プラセボ(生理食塩液など)接種群とワクチン接種群における接種後7日以内の副反応を個別に評価したSARS-CoV-2ワクチンのRCT 12件(プラセボ群2万2,578例、ワクチン群2万2,802例、計4万5,380例)を抽出し、ランダム効果モデルによるメタ解析に組み入れた。主要評価項目はプラセボ群における副反応全般、全身性副反応、局所性(接種部位)副反応の発現率とした。

 解析の結果、1回目接種後のプラセボ群における副反応発現頻度は、全身性副反応が35.2%(95%CI 26.7~43.7%)、局所性副反応が16.2%(同11.3~21.1%)だった。ワクチン群の発現率はプラセボ群と比べて高く、それぞれ46.3%(同38.2~54.3%)、66.7%(同53.2~80.3%)だった。

 プラセボ群において最も発現頻度が高かった副反応は頭痛(19.3%、95%CI 13.6~25.1%)、次いで疲労感(16.7%、同9.8~23.6%)だった。

2回目接種後はプラセボ群で低下、ワクチン群で上昇

 2回目接種後のプラセボ群における副反応発現率は全身性副反応が31.8%(95%CI 28.7~35.0%)、局所性副反応が11.8%(同6.6~17.1%)で、1回目接種後と比べていずれも有意に低下した(順にP<0.001、P=0.002)。一方、ワクチン群における全身性副反応の発現率は61.4%(同47.4~75.4%)と1回目接種後に比べ有意に上昇し、局所性副反応の発現率も有意でないものの72.8%(同57.4~88.2%)に上昇した(順にP=0.002、P=0.18)。

 全身性副反応の発現率はプラセボ群に比べワクチン群で有意に高かったが、群間差は1回目接種後は小さく〔対数オッズ比-0.47(95%CI -0.54~-0.40)、P<0.001、標準化平均差-0.26(95%CI -0.30~-0.22)〕、2回目接種後に拡大した〔同-1.36(-1.86~-0.86)、P<0.001、-0.75(-1.03~-0.47)〕。

 プラセボ群では1回目と比べて2回目接種後に副反応発現率が低下したのに対し、ワクチン群では逆に上昇した結果について、Haas氏らは「ワクチン群では2回目接種後の方が免疫反応が強く、それに応じて副反応が増加した可能性がある。また1回目接種後に多くの副反応が発現したことで、2回目接種後の副反応に対する懸念が大きかったことが影響した可能性もある」との見解を示している。

非特異的症状を副反応と誤認か

 ワクチン群に対するプラセボ群における副反応発現率の比から、1回目接種後は全身性副反応の76.0%と局所性副反応の24.3%、2回目接種後はそれぞれ51.8%と16.2%がノセボ効果に相当することが示された。

 以上を踏まえ、Haas氏らは「SARS-CoV-2ワクチンに関するRCTのシステマチックレビューとメタ解析において、副反応はワクチン群より少ないものの、プラセボ群でも全身性副反応が30%超に発現し、1回目接種後では76%、2回目接種後では52%がノセボ効果に相当することが示された。公的ワクチン接種プログラム導入に際しては、ノセボ効果の多さを考慮すべき」と結論している。

 その上で、「頭痛や疲労感などの非特異的症状は、多くのワクチンの説明書に『最もよく見られる副反応』として記載されている。このような情報による先入観が、①副反応に対する不安や懸念というノセボ効果を生むメカニズムを増強する、②ワクチンを接種しなくても発生した可能性がある非特異的症状をワクチンの特異的な副反応と誤認するー恐れがある」と指摘し、「例えば『同様の副反応は、このワクチンの臨床試験においてプラセボを投与された人でも報告されているが、不安や懸念が発生原因だった可能性もある』といった説明を加え、ノセボ効果に関する情報開示と教育を行うことが有用であろう」と付言している。

(太田敦子)