米・Cleveland ClinicのNagy Mekhail氏らは、慢性難治性腰痛および下肢痛を有する134例を対象に、誘発複合活動電位(ECAPs)を制御する閉ループ脊髄刺激療法(SCS)の有効性を検討する二重盲検ランダム化比較試験(RCT)を実施した。その結果、従来の固定出力の開ループSCSと比較して、閉ループSCSはベースラインから3カ月時および12カ月時だけでなく、24カ月経過時においても優れた疼痛緩和効果を示したとJAMA Neurol2022年1月8日オンライン版)に発表した。

リアルタイムでECAPsの測定、調整が可能

 ECAPsとは電気刺激によって誘発される神経反応の指標で、活性化された複数の神経線維からの活動電位の総和である。閉ループSCSは、従来の固定出力の開ループSCSと異なり、リアルタイムでECAPsを測定・調整する機能を持つ。

 Mekhail氏らは、植え込み後24カ月の時点で、ECAPsを制御する閉ループSCSの転帰改善効果を開ループSCSと比較するため、2017年2月〜18年2月に米国の13施設で被験者を登録、2020年10月〜21年4月に二重盲検RCTを実施した。

 対象は、保存療法に抵抗性の慢性難治性腰痛および下肢痛を有するSCS候補の患者134例(女性65例、平均年齢55.2歳)。主な適格基準は、①全身、背中、脚の痛みのVisual Analog Scale(VAS)スコアが60mm以上(100mmは想像しうる最悪の痛み)、②オスウェストリー障害指数スコアが41~80、③安定した鎮痛薬の使用、④SCSの使用歴なし-などとした。対象者を閉ループ群または開ループ群に1:1でランダムに割り付け、植え込み対象となった患者113例のうち、最終的に92例(閉ループ群50例、開ループ42例群)を24カ月間追跡した。

 痛みの軽減はVASスコアを用いて評価し、反応者(痛みが50%以上軽減)と高反応者(同80%以上軽減)に層別化し、腰と下肢の痛み全体の軽減率も測定した。

 主要評価項目は3カ月時および12カ月時で評価した腰痛および下肢痛全体の50%以上の軽減として既に報告している(Lancet Neurol 2020; 19: 123-134)。今回は副次評価項目として、主要解析と安全性解析における全患者(134例)の24カ月時のアウトカムを報告した。

オピオイドを大幅に削減できる可能性も

 解析の結果、24カ月時における反応者の割合は、開ループ群よりも閉ループ群で有意に多かった〔閉ループ群67例中53例(79.1%)、開ループ群67例中36例(53.7%)、差25.4%ポイント(95%CI 10.0〜40.8%ポイント、P=0.001)〕。

 同様に、24カ月時における高反応者の割合も閉ループ群で有意に多かった〔閉ループ群67例中31例(46.3%)、開ループ群67例中20例(29.9%)、差16.4%ポイント(95%CI 0.2〜32.6%ポイント、P=0.047)〕。

 治療関連有害事象の発生率は閉ループ群で23.9%、開ループ群で17.9%と両群差6.0%ポイント(95%CI -7.8〜19.7%ポイント)で、安全性プロファイルに両群間で差はなかった。

 患者報告アウトカムでは、Profile of Mood States、12-item Short Form Survey、オスウェストリー障害指数、Pittsburgh Sleep Quality Index、European Quality of Life 5-Dimensional Five-Levelなど全てにおいて、24カ月時で両群ともベースラインから有意な改善を認めた。特に閉ループ群ではより改善が見られ、Profile of Mood States Total Mood Disturbance〔ベースラインからの変化(標準偏差): 閉ループ群18.6(±19.4)、開ループ群9.4(±15.1)〕および12-item Short Form Survey mental component summary〔同 閉ループ群6.7(±11.6)、開ループ群-1.4(±10.0)〕において有意差が認められた。

 さらに、ベースラインでオピオイドを服用していた患者のうち、閉ループ群では66.7%(27例中18例)、開ループ群では60.9%(23例中14例)において、24カ月時で自発的なオピオイドの減薬または断薬が認められた(P=0.77)。

 以上から、ECAPs制御の閉ループSCSは、3カ月時および12カ月時の転帰と同様に、24カ月時においても優れた疼痛緩和を持続させた。

 Mekhail氏は「ECAPs制御SCSは慢性疼痛患者にとって非常に効果的で、信頼性が高く、耐久性のある治療法であり、自発的にオピオイドを大幅に削減できる可能性があることが証明された」と述べている。

(今手麻衣)