新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン株の流行が急速に拡大している。一方で、SARS-CoV-2ワクチン3回目接種の進捗は順調とは言い難い。米疾病対策センター(CDC) COVID-19 ResponseのEmma K. Accorsi氏らは、SARS-CoV-2変異株に対するmRNAワクチン3回目接種の有効性を検証。その結果、ワクチンの3回接種により、オミクロン株への感染が非接種、2回接種に比べ抑えられることが示されたと、JAMA2022年1月21日オンライン版)に発表した。(関連記事「mRNAワクチン3回目接種がオミクロンに"著効"」

18歳以上の男女7万155例で解析

 SARS-CoV-2オミクロン株はスパイク蛋白質の変異が30カ所以上と多く、感染伝播性や免疫逃避に対する懸念が高まっている。そのため、オミクロン株に対するワクチン3回目接種の有効性についての検証が急ぎ求められている。

 そこでAccorsi氏らは、診断陰性症例対照試験を実施し、SARS-CoV-2オミクロン株、デルタ株に対するファイザー製およびモデルナ製mRNAワクチン3回目接種の有効性を検証した。

 対象は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)様症状があり、2021年12月10日~22年1月1日に米国内の薬局4,666カ所でポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査を受けた18歳以上の7万155例〔平均年齢40.3歳±標準偏差(SD)15.6歳、女性4万2,050例〕。これらを、①mRNAワクチンの3回目接種から14日以上経過かつ2回目接種からは6カ月以上経過(3回目接種完了群2万1,707例)、②2回目接種から6カ月以上経過し、3回目は未接種(2回目接種完了群3万1,271例)、③ワクチン非接種(非接種群1万7,177例)―の3群に分類した。

オミクロン感染は、3回接種群11.2%、2回接種群23.2%、非接種群19.9%

 解析の結果、3回目接種完了群のうち、オミクロン株への感染が確認されたのは2,441例(11.2%)、デルタ株への感染は679例(3.1%)、非感染(対照)は1万8,587例(85.6%)だった。2回目接種完了群では、それぞれ7,245例(23.2%)、4,570例(14.6%)、1万9,456例(62.2%)、ワクチン非接種群では、3,412例(19.9%)、5,044例(29.4%)、8,721例(50.8%)だった。

 検査実施日から解析までの期間、年齢層、性、人種、民族、検査実施地域、社会的脆弱性指数、慢性疾患の数を調整後の回帰分析では、ワクチン非接種群に対する3回目接種完了群のSARS-CoV-2感染の調整オッズ比(aOR)はオミクロン株で0.33(95%CI 0.31~0.35)、デルタ株で0.065(同0.059~0.071)と、いずれもリスクの低下が認められた。2回目接種完了群に対する3回目接種完了群のaORは、オミクロン株で0.34(同0.32~0.36)、デルタ株で0.16(同0.14~0.17)と、同様に低かった。

3回目接種完了群のCt値は、2回目接種完了群に比べ有意に高値

 次に、SARS-CoV-2変異株とワクチンの接種状況で層別化し、SARS-CoV-2ウイルスゲノムの3領域(N遺伝子、ORF1ab遺伝子、S遺伝子)の閾値到達サイクル数(Ct値)を解析。その結果、Ct値の中央値は、オミクロン株、デルタ株ともに3回目接種完了群では2回目接種完了群に比べ有意に高値だった(オミクロン株:N遺伝子19.35 vs. 18.52、ORF1ab遺伝子19.25 vs.18.40、デルタ株:N遺伝子19.07 vs. 17.52、ORF1ab遺伝子18.70 vs.17.28、S遺伝子23.62 vs. 20.24、全てQ<0.001)。

 Accorsi氏らは「COVID-19様症状がありPCR検査を受けた者のうち、SARS-CoV-2陽性と判定される割合はmRNAワクチン非接種例、2回接種例に比べ、3回接種例で少なかった。また、デルタ株ほどではないものの、オミクロン株に対してmRNAワクチンの3回目接種が、非接種、2回目接種に比べ感染抑制に有効であることが示唆された」と結論している。

(比企野綾子)