新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の第五波では、感染力が強いとされる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)デルタ株が猛威を振るい、小児患者数も増加した。しかし、デルタ株流行期の小児患者の臨床的特徴や重症度については不明な点が多い。国立成育医療研究センター感染症科医長の庄司健介氏は、国立国際医療研究センターが運営している国内最大のCOVID-19のレジストリ「COVID-19 Registry Japan(COVIREGI-JP)」を用いて、日本で初めて小児COVID-19患者の特徴をデルタ株流行期とそれ以前とで比較検討。J Infect Chemother2022年1月19日オンライン版)に報告した(関連記事「国内のコロナ入院患児、大半が軽症か無症状」)。

デルタ株以前期に比べ若年で基礎疾患例が多く、症状悪化

 研究では、2020年10月〜21年5月をデルタ株以前期、2021年8〜10月をデルタ株流行期と定義し、それぞれの期間に登録された18歳未満の小児COVID-19入院患者1,299例(デルタ株以前期950例、デルタ株流行期349例)を対象に実施。

 検討の結果、年齢はデルタ株以前期の10歳に対して、デルタ株流行期は7歳と有意に若かった(P<0.001)。無症状の患者の割合はそれぞれ25.8%、10.3%と、デルタ株流行期には症状を呈する例が有意に多く(P<0.001)、なんらかの基礎疾患を有する割合も7.4%、12.6%とデルタ株流行期で有意に多かった(P=0.004)。

 集中治療室(ICU)への入室はデルタ株以前期の1例(0.1%)に対しデルタ株流行期は5例(1.4%)と、デルタ株流行期で有意に多かった(P=0.006)。ICUに入室した患者の半数に基礎疾患(喘息または肥満)があった。

 一方で、人工呼吸管理が必要な患者や死亡例は両期間ともに認められなかった。

 庄司氏は「小児における入院適応やワクチン接種の条件などを考えていく上で、本研究の結果がその基礎データとなることが期待される」と結論。注意すべき点として、①オミクロン株が存在していなかった時期の検討でありその影響は不明、②個々の症例についてデルタ株感染が証明されているわけではなく、あくまでデルタ株が流行の主流であった時期の患者とそれ以前の患者の比較であること、③それぞれの期間で入院適応が異なっている可能性があり、入院率の違いの解釈には注意が必要、④COVIREGI-JPに登録された患者は日本全体の患者の一部であり、全ての患者が登録されているわけではないこと−を挙げている。

(安部重範)