勃起障害(ED)は、40歳以上の男性の3人に1人が該当するとされる。治療薬としては、シルディナフィルをはじめとしたホスホジエステラーゼ(PDE)5阻害薬が主流だが、禁忌や価格などの問題があり、世の男性を完全に救う手段とはなっていない。L-アルギニンはアミノ酸の一種で、疲労回復や血管拡張、血流改善作用があるとされ、EDへの効果が期待されている。イタリア・Università Federico Ⅱ di NapoliのD. Menafra氏らは、軽症~重症の血管性ED患者を対象に高用量L-アルギニンの効果をプラセボと比較したランダム化比較試験の結果をJ Endocrinol Invest2022年1月1日オンライン版)に発表。L-アルギニンの投与後に20%が非EDへと改善したと報告した。

6gを90日間投与  

 同試験の対象は、血管性EDで、①20~75歳、②安定して性交渉のパートナーがいる、③勃起機能問診票(IIEF)-6スコアにより軽症~中等症のEDと診断、④血清総テストステロンおよびプロクラチン値が正常-に該当する患者。血管拡張薬やEDを助長する可能性がある薬剤の使用例、過去6カ月以内の心血管イベントの既往例などは除外した。L-アルギニンを食後にバイアルで1回2g/20mL、1日3回計6gを経口投与するL-アルギニン群(51例)とプラセボを投与するプラセボ群(47例)にランダムに割り付け、90日間投与を継続した。

 勃起能はIIEF-6スコア(26~30点:EDなし、22~25点:軽症、17~21点:軽症~中等症、11~16点:中等症、10点以下:重症)に加え、動的陰茎ドップラー超音波〔PDU、収縮期最大血流速度(PSV)が25~35cm/秒:軽症~中等症、25cm/秒未満:重症〕により評価。さらに、身長、体重、BMI、コレステロール値などの臨床的/生物学的パラメータも測定し、ベースライン時(T0)および投与終了時(T1)のIIEF-6スコアと動的PDUで評価したEDの改善割合、安全性を比較した。

主な患者背景に有意差なし

 L-アルギニン群とプラセボ群のベースライン時の患者背景は、IIEF-6スコアがともに20点、PSVがそれぞれ25.9cm/秒、27.1cm/秒で、その他の患者背景にも有意差は認められなかった。またL-アルギニン群とプラセボ群のT0におけるEDの程度は次の通りで、IIEF-6スコアによる分類では重症度に有意差は認めらなかったが、L-アルギニン群では軽症~中等症が少なく、中等度が多かった。

●IIEF-6スコア

L-アルギニン群→軽症:27.45%、軽症~中等症:41.18%、中等症:31.37%

プラセボ群→同27.66%、61.7%、10.64%

●動的PDU

L-アルギニン群→軽症~中等症:64.71%、重症:35.29%(うち、IIEF-6スコアに基づくと軽度~中等度が10例、中等度が8例)

プラセボ群→同74.47%、25.53%(うち、IIEF-6スコアに基づく軽症~中等症が8例、中等症が4例)  

 平均治療期間は、L-アルギニン群89.9日、プラセボ群91.1日だった。

安全性に大きな懸念は認められず

 T0からT1への変化を見ると、テストステロン値は、L-アルギニン群(T0:17.7nmol/L、T1:17.9nmol/L)では治療後にやや上昇していたのに対し、プラセボ群(同19.9nmol/L、19.8nmol/L)では上昇傾向は認められなかった。  

 IIEF-6スコアおよび動的PDUで見たED重症度の割合はの通りだった。

表. T0とT1で比較した勃起能の変化 

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J Endocrinol Invest 2022年1月1日オンライン版)

 すなわち、L-アルギニン群ではT0と比べてT1で平均IIEF-6スコア(20点→24点、P<0.0001)および平均PSV(同25.9cm/秒→30.5cm/秒、P<0.0001)がそれぞれ有意に増加し、IIEF-6スコアに基づいた中等症EDの割合(31.37%→8%、P=0.005)が減少し、非EDの割合(0%→24%、P=0.0001)が増加、動的PDUに基づいた軽症~中等症EDの割合(64.71%→44%、P=0.047)が減少し、非EDの割合(0%→20%、P<0.0001)が増加していた。それに対し、プラセボ群ではいずれの割合も有意な変化はなかった。  

 安全性については、HDLコレステロール値がT0と比べてT1ではL-アルギニン群(57.9mg/dL→60.8mg/dL、P=0.001)で有意に上昇し、プラセボ群(58.6mg/dL→ 55.5mg/dL、P=0.0001)で有意に低下した他は、臨床的/生物学的パラメータに有意な変化は認められなかった。

 以上の結果を踏まえ、Menafra氏らは「高用量のL-アルギニン投与により、IIEF-6スコアおよび動的PDUに基づく軽症~中等症の血管性ED患者における勃起能を改善する効果が認められたが、動的PDUに基づく重症例では改善効果が認められなかった。したがって、L-アルギニンは軽症~中等症の血管性EDでPDE5阻害薬服用による有害事象を経験した患者および同薬の慢性投与が禁忌の患者に対する代替選択肢となる可能性がある」と述べている。

(編集部)

変更履歴(2022年1月28日):記事中の見出しを「6gを90日間投与」に修正しました