新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染拡大を受け、まん延防止等重点措置の適用地域が27日、34都道府県に拡大された。ただ、これまでと同様の対策の繰り返しに、効果を疑問視する見方も出ている。
 重点措置が適用されてから最初の週末を迎えた22日の神奈川・箱根。箱根湯本駅前の商店街の人出にそれほど変わりはなかった。旅行で訪れた会社員の男性(34)=鎌倉市=は「正直、意味があるのかと思う」と首をひねる。小田原市から来た30代の主婦は「感染防止にはなっても、観光地で働く人には死活問題では」と、地域経済への影響を懸念した。
 識者の見方は分かれている。感染症学が専門の二木芳人昭和大客員教授は、「オミクロン株はデルタ株と比べて桁違いに感染力が強い。軽症が多いが、これだけ感染者が出ると重症や死亡も増え、医療が逼迫(ひっぱく)する」と感染抑制の必要性を訴える。「(現在の感染者数は)決して楽観できる数字ではない。とにかく予防を徹底して、ピークが来るのを遅らせる必要がある」と強調した。
 原田隆之筑波大教授(臨床心理学)は、重点措置や緊急事態宣言が繰り返されたことで人々の意識に働き掛ける効果が薄れてきたとしつつ、「物理的な制限もかかるので、ある程度の効果はある。一定の歯止めはしなければ」と理解を示す。
 ただ、政府分科会の尾身茂会長が「人流抑制より人数制限」と発言したことには、「中途半端なことを言うと、受け取る方はいいように受け取る。一貫しないメッセージになってしまった」と指摘。「人々の心理的な受け止めまで加味して、伝わるメッセージを出す専門家が必要だ」と注文した。
 一方、リスクコミュニケーションが専門の福田充日本大危機管理学部教授は、今回の重点措置について「同じことの繰り返し。あまり意味がない」と言い切る。社会を回していくためには今後も同様の感染予防対策が続く可能性があることをきちんと国民に説明し、同時に大きなコストがかかっても病床を大幅に拡充していくなど、政府が出口戦略を明確にする必要があるとした。 (C)時事通信社