夜間勤務や交代勤務による不規則な生活リズムが、睡眠や健康に悪影響を及ぼす可能性が指摘される。しかし、勤務形態および勤務時間による負の影響については解明されていないとして、ドイツ・Institute of the Ruhr University BochumのSwaantje Casjens氏らは夜間勤務者および交代勤務者の睡眠・覚醒データを検討。結果を、PLoS One2022; 17: e0262049)に報告した。

工場勤務者129人を勤務時間・夜勤の有無で5群に分け比較

 夜間勤務や交代制など勤務形態による概日リズムの乱れは、慢性的な睡眠不足につながりかねない。また、平日の睡眠不足を休日に取り戻そうとする「寝だめ」により、平日と休日の睡眠リズムが乱れる「社会的時差ぼけ」も懸念される。しかし、夜間勤務の有無や勤務時間の長さによる睡眠への負の影響については解明されていないとして、Casjens氏らは同国の工場勤務者の睡眠・覚醒データを基に検討した。

 対象は同国内の工場2カ所に勤務する129人。期間中の勤務日が週5日未満の者などは除外した。129人中117人が男性、年齢の中央値は47歳、BMIの中央値は28.4、勤務年数の中央値は21年であった。

 129人を勤務形態および勤務時間別に、①12時間勤務・夜勤あり群(47人)、②8時間勤務・夜勤あり群(43人)、③12時間週末勤務・夜勤あり群(11人)、④8時間勤務・夜勤なし群(12人)、⑤常夜勤群(16人)−に分け、28日間にわたり手首に装着したアクチグラフにより睡眠・覚醒リズムを測定した。

常夜勤者は平日と休日で睡眠時間に5時間の差

 全体の夜間および昼寝を含む平均睡眠時間は6時間26分(95%CI 6時間18分〜6時間34分)で、群別に見ると①群が6時間34分(同6時間21分〜6時間47分)、②群が6時間19分(同6時間6分〜6時間33分)、③群が6時間39分(同6時間13分〜7時間6分)、④群が6時間16分(5時間51分〜6時間42分)、⑤群が6時間20分(5時間57分〜6時間42分)と、5群間に有意差は認められなかった。

 しかし、就業日の睡眠時間で比べたところ、12時間勤務である①群(5時間、95%CI 4時間46分〜5時間14分)と③群(5時間13分、同4時間45分〜5時間42分)で特に短かった。また、睡眠負債は夜勤のない④群が1時間24分(95%CI 46分〜2時間2分)と最小で、12時間勤務で夜勤のある①群が3時間5分(同2時間45分〜3時間24分)と最大であった。さらに、社会的時差ぼけ(平日と休日の睡眠時間の差)は、常夜勤者の⑤群が5時間8分と最大であった。

 以上から、Casjens氏らは「常夜勤者は他の交代勤務者に比べ平日と休日の睡眠時間に最も開きがあり、睡眠の質が著しく低いことが分かった。また、12時間勤務者では睡眠時間が短く、睡眠負債が大きい傾向が見られた」と結論している。

松浦庸夫