【フランクフルト時事】ユーロ圏の物価見通しに不透明感が強まっている。欧州中央銀行(ECB)は2022年にインフレ率が低下に転じると見込むが、足元ではなお上昇基調が続く。エネルギー価格の高騰や原材料の供給制約が長期化し、ECB当局者からはインフレの高止まりを警戒する声も上がる。
 昨年12月のユーロ圏消費者物価指数は前年同月比5.0%上昇と、ECBの物価目標の2%を大幅に上回った。ECB理事会メンバーのナーゲル・ドイツ連邦銀行(中銀)総裁は「インフレ率が想定よりも長期間、高止まりするリスクが大きくなっている」と警告する。
 物価高を長引かせているのは、新型コロナウイルス流行による世界的なサプライチェーン(供給網)の混乱だ。欧州で電子部品などを販売する日系商社員は「注文に対応できず、コンテナや港湾労働者の不足で物流コストも跳ね上がり、改善の兆しが見られない」とため息をつく。ウクライナ情勢が緊迫化する中、天然ガスなどエネルギー価格の高騰が続くとの指摘もある。
 昨年12月の消費者物価指数が7.0%上昇した米国では、連邦準備制度理事会(FRB)が3月の利上げ開始を示唆。パウエル議長は「物価高は幅広い商品やサービスに及び、賃金も大幅に上昇している」と述べ、インフレ高進に強い警戒感を示す。一方、ECBのラガルド総裁は、供給制約などのインフレ要因は緩和に向かうとして、「年内に利上げを行う可能性は極めて低い」との見方を崩していない。 (C)時事通信社