【ベルリン、ワシントン、北京時事】世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスについて「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言してから、30日で2年。これまでに世界で延べ3億6000万人超が感染、560万人以上が死亡した。ただ、ここ数カ月は変異株「オミクロン株」の感染が爆発的に拡大しつつも、死者数は激増しておらず、欧米ではワクチン接種を前提に共存の道も模索され始めた。
 一方、厳格な「ゼロコロナ」政策を成功させてきた中国は、逆に容易には緩和ができない状況だ。オミクロン株でさまざまな前提条件が変わる中、経済社会全体への影響を考慮したバランスの良い政策とは何かが問われている。
 WHOのテドロス事務局長は24日の執行理事会で、ワクチン接種が一段と進めば「緊急事態は今年終えられる」と表明した。先週1週間の世界の感染者数は約2280万人と、南アフリカでオミクロン株が初採取された11月上旬から6倍超に拡大。一方、1週間当たり死者数はほぼ変わらず5万人前後で推移。オミクロン株の軽症傾向に加え、世界でワクチン接種率が50%を超えたことなどが影響しているもようだ。
 欧州では規制緩和が続く。英国のジョンソン首相は19日、感染の「ピークを過ぎた」とほぼすべての規制撤廃を表明。これまでも制限が緩めだった英国は、国内総生産(GDP)もコロナ禍前の水準を回復した。アイルランドも22日から、行動制限をほぼ解除。独仏は感染は増加中だが、ワクチンを追加接種した人への制限はほぼなく、隔離期間も短縮された。
 米国は、感染者・死者数とも依然世界最多。1日の新規感染者(7日間平均)は80万人だった1月半ばと比べ低下したが、依然60万人超に上る。それでも、バイデン大統領は「ロックダウン(都市封鎖)や学校閉鎖には戻らない」と、経済活動や移動の制限ではなく、ワクチンを通じたウイルスとの闘いを進める方針だ。米国も、GDPはコロナ禍前の水準に戻っている。
 毎日1国当たり数十万人の感染者が出ている欧米に比べ、中国は累計約11万人と圧倒的に少ない。今後も、市民生活や経済活動を犠牲にしても感染の連鎖を徹底的に断つ「ゼロコロナ」政策を堅持する方針だ。
 12月下旬から1カ月、約1300万人が閉じ込められた陝西省西安市では市民から不満が噴出したが、「より多くの人民の生産活動・生活を保証するゼロコロナはコストパフォーマンスが高い」(国家衛生健康委員会)と譲る気配はない。特に今年は2~3月に北京冬季五輪・パラリンピック、秋に5年に1度の共産党大会を控える。少なくとも習近平指導部が党大会で異例の3期目入りを果たすまで、軌道修正する可能性は低い。 (C)時事通信社