アフガニスタンで活動する日本人看護師による情勢報告会が29日、都内で開かれた。昨年8月にイスラム主義組織タリバンが民主政府を崩壊させ、権力を掌握したアフガン。西部の主要都市ヘラートで今年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大と食料不足の深刻化という「二重苦」に市民があえいでいる現状などが報告された。
 報告会を開いたのは国際医療団体「国境なき医師団(MSF)」の倉之段千恵さん(44)。タリバンの政権掌握とほぼ同時期にヘラート入りし、MSFの医療施設で新型コロナ対応に当たっている。
 アフガン保健省によれば、国内のコロナの累計感染者数は29日時点で約16万人で、死者数は約7400人。世界で変異株「オミクロン株」が猛威を振るう中、感染爆発という「最悪のシナリオを想定して準備している」という倉之段さんは、「数日前から(感染の)波が到着し始めた。ついに来た」と危機感を隠さない。MSFの医療施設に来る外来患者はこれまで1日60~90件だったが、過去3日は160~170件に跳ね上がった。
 一方、タリバン政権をめぐっては、女性や少数派も含めた「包括的政府」の樹立を求める欧米諸国が援助を停止。政府の管理が行き届かない中、飢餓のまん延などの人道危機に陥っている。倉之段さんは「(ヘラートでも)食料難がひしひしと感じられる」と指摘。入院患者へ提供予定の食事をもらいに来る人も多いといい、「確実に食料危機は起きている」と窮状を訴えた。
 また、女性の抑圧など人権侵害を批判されるタリバンだが、倉之段さんは「MSFはタリバンとは独立性を保っている。いい関係をつくっている」と述べた。タリバンの保健当局者の視察を受けた際、案内役を務めたという。 (C)時事通信社