禁煙のための行動・薬剤介入試験の多くは、禁煙の意思がある者を対象としている。しかし、喫煙者の約7割は禁煙の意思がないとされている。米・Wake Forest School of MedicineのThomas K. Houston氏らは、多施設ランダム化比較試験(RCT)Take a Breakにおいて、禁煙の意思がない者を対象とした、ニコチン代替療法(NRT)試用への禁煙支援介入の上乗せ効果を検証。詳細をJAMA Intern Med2022年1月24日オンライン版)に報告した。対象者を喫煙に導いた"冴えた方法"とはー。

社会認知理論とゲーム概念に基づく介入

 喫煙を続けながらの短期間のNRT試用は、長期の禁煙率を高めることが実証されているが、禁煙の意思がない者はこうした準備介入に参加させることすら困難である。

 Houston氏らは、米国の4施設において禁煙の意思がない喫煙者433例を登録。女性52%、平均年齢54±13歳で、社会経済的基盤が脆弱(パートタイマー、失業者など)な者が含まれ、75%が大学を卒業していなかった。

 NRT試用に5要素から成る禁煙支援策(TAB)を上乗せすることで禁煙率を改善できるかを検討するため、①施設単位でNRT+TAB試用の併用(介入群213例)、②NRT試用単独(対照群220例)ーに1:1で割り付け、6カ月追跡した。

 TAB群には社会認知理論とゲームメカニクス概念に基づき、行動変化を促すための以下の介入を行った。

  1. テキストメッセージによる応援。最初の3週間は毎日、その後は週2回送信
  2. 喫煙行動の自己評価を盛り込んだクイズ。回答者には毎日ゲーム参加の呼びかけと応援メッセージを送信
  3. 1週目終了時に、上記の1.2.に基づき短期の治療目標を設定
  4. ニコチン渇望コントロールのため、スマートフォンのmHealthアプリによる気晴らし・リラックスゲームを提供
  5. 報酬。禁煙達成にではなく、クイズ・ゲームへの参加に対してポイントを付与。終了時に商品券(参加レベルに応じて全員に対し5~15ドル相当)と交換

 主要評価項目は、初回禁煙行動までの期間と、6カ月後の禁煙達成率(呼気中一酸化炭素濃度で確認)とした。解析は全てintention-to-treat法で行った。

6カ月後の禁煙達成率が有意に改善

 TAB群で、1週目における毎日のクイズに全て参加したのは53%(213例中112例)で、前例が2週目でクイズを完了した。禁煙の短期目標設定への参加者のうち、実際に目標設定したのは73%(199例中145例、最多は1~2日)、mHealthアプリを用いてニコチン渇望への対処を試みたのは75%(213例中159例)だった。

 3週間後のフォローアップ時点で評価が可能だった参加者のうち、実際にNRTを行ったのは対照群の56%(198例中11例)に対し介入群では66%(191例中127例)と有意に高率だった(P=0.04)。

 最初の3週間における24時間禁煙率は、対照群の14%(209例中29例)に対し介入群では25%(200例中49例)と有意に高率だった〔オッズ比(OR)2.01、95%CI 1.21〜3.35、P=0.01〕。90日以内に禁煙を始めた割合は対照群と比べ介入群で多かった〔23% vs. 35%、ハザード比(HR)1.68、95%CI 1.09~2.60、P0.02〕。

 6カ月の追跡期間終了時に禁煙を達成していたのは、対照群の10%(171例中17例)に対し介入群では18%(160例中28例)と約2倍だった(P=0.045)。登録施設を調整後のORは1.92(95%CI 1.01~3.68、P=0.048)だった。

 Houston氏らは「まだ禁煙の意思がない者でも、短期の禁煙ゲームに取り組み、ゲーム体験を通じて禁煙スキルが確立できれば、短期のNRT試用を長期の禁煙に結び付けられることが示された」と結論している。

(小路浩史)

  • モバイル・ウエアラブル端末の健康・医療アプリから得られる情報を通信システムにより一元管理したり、健康・医療サービスの連携に活用しようという概念