新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、現在主流となっている変異株「オミクロン株」の一種で、別系統の「BA.2」に対する警戒が強まっている。感染力は現在流行の「BA.1」より18%高いとの分析もある。海外では一部で置き換わりが進み、国内でも市中感染が始まった恐れがある。
 国立感染症研究所によると、現在の世界的な主流はBA.1だが、デンマークやインドではBA.2が増加しており、デンマークでは割合で逆転したという。両者には共通する変異も多いが、一部の国ではオミクロン株検出用の検査をすり抜けるため「ステルスオミクロン」とも呼ばれる。日本では検査手法が異なるため問題はないとされる。
 日本ではBA.1が大半だが、厚生労働省によると、BA.2は空港などの検疫で1月26日までに313例が確認された。インドなどに渡航歴のある例が多い。神戸市では1月10~16日に発生届が出された2人から検出された。1人は海外渡航歴があり、もう1人は渡航者と接点があった。
 1月中旬には東京医科歯科大の調査で、感染経路不明の感染者が1人見つかった。同大の武内寛明准教授は「関東圏では市中感染が少なからず始まっている可能性がある」と指摘する。
 西浦博京都大教授らによると、BA.2は感染者1人が平均してうつす人数「実効再生産数」がBA.1より18%高いという。西浦氏はこの違いを「かなり大きい」とした上で、現在の流行ピークの予測についても「置き換わりでもくろみが崩れる可能性がある」と指摘。実際、デンマークではピークを迎えた新規感染者数が再び増加に転じた。ただ、海外の研究では入院リスクの違いは見られないという。
 厚労省専門家組織は1月下旬、BA.2について「ゲノム(全遺伝情報)解析によるモニタリングを継続する必要がある」と提言。座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は「入院率に差がないとの情報もあるが、感染力は今のオミクロン株より強く警戒すべきだ」と強調した。 (C)時事通信社