新型コロナウイルスの新規感染者が3日、初めて10万人を超えた。感染の波は医療従事者も巻き込み、相次ぐ就業制限で逼迫(ひっぱく)の度合いが増している。救急患者の受け入れを全面中止する病院も出ており、現場からは「状況は刻々と悪化している」「精神的にもぎりぎりだ」と悲鳴が上がる。
 総務省消防庁によると、救急搬送先がすぐに決まらない「搬送困難事案」は1月24~30日の1週間で過去最多の5303件と、「第5波」ピーク時の1.6倍に上った。
 東京都大田区の大森赤十字病院では、コロナ病床拡充のため一般病床を100床減らすなど、瀬戸際の医療を続ける。救急患者は以前なら1日当たり20件程度を受け入れていたが、今月2日時点で心筋梗塞や脳梗塞に制限。中瀬浩史院長は「一般病床はパンク状態。今のやり方でコロナ診療とセーフティーネットの役割を両立するのは難しい」と話していた。
 3日には、ついに救急の全面中止に追い込まれた。同院長は「今朝、感染や濃厚接触、子の世話などで新たに7人の職員が就業制限となり、現場が回らなくなった。状況は刻々と変わり、また一歩悪くなった。悔しいが、救急をいったん止めて立て直さなければ」と焦りを見せた。
 大阪市にある北野病院の丸毛聡呼吸器内科・感染症科部長は「先週末に病床が埋まり、発熱のあるコロナ疑い患者の受け入れができなかった」と明かす。家庭内感染や濃厚接触によるスタッフの欠勤も相次ぎ、緊急性の低い入院を一部で制限した。院内クラスター(感染者集団)を防ぐため勤務外でも神経をとがらせており、「緊張感がいつまで持つか。精神的にも肉体的にもぎりぎりだ」と疲労感をにじませた。
 兵庫県西宮市の兵庫医科大病院は1月末、全病棟で急患以外の新規入院と手術を中止した。医師や看護師、入院患者の計32人が感染したほか、濃厚接触で看護師40人以上が欠勤に。担当者は「全病棟での入院中止は初めての事態。医療提供体制の維持は厳しさを増している」と語った。 (C)時事通信社