日本食道学会ガイドライン委員会は、2月3日付で局所進行食道がんの治療における術前シスプラチン+フルオロウラシル(5-FU)+ドセタキセル(DCF療法)に関するコメントを発表した。今年(2022年)1月開催の米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO-GI 2022)で報告された、第Ⅲ相JCOG1109 NExT試験の結果を受けたもの。「食道がんの術前治療としてDCF療法を行うことを強く推奨する(エビデンスの強さA)」としている(関連記事「DCF療法、進行食道がん術前治療の標準に」)。

CF療法群に対しCF-RT療法群でOSの優越性示す

 これまで、切除可能な局所進行食道がんに対する術前治療として、術前化学療法が弱く推奨されており(CQ9)、JCOG9907試験の結果、術前シスプラチン+5-FU(CF療法)が標準治療とされていた。その後、術前化学療法+手術と術前化学放射線療法+手術の治療成績を比較した3件の海外のランダム化比較試験では、5年生存率に有意差は認められなかった。

 JCOG1109 NExT試験では、20~75歳の前治療歴のない切除可能な局所進行食道扁平上皮がん(cT1N1~3M0、cT2-3N0~3M0)で、全身状態(ECOG PS)0または1の患者を、CF療法群、DCF療法群、シスプラチン+5-FU+放射線療法(CF-RT療法群)の3群で比較した。その結果、全生存(OS)中央値は、CF療法群5.6年(95%CI 3.9~評価不能)、DCF療法群未到達(同6.7年~評価不能)、CF-RT療法群7.0年(同5.2年~評価不能)で、CF療法群に対するDCF療法群の優越性が示された一方〔ハザード比(HR)0.68、95%CI 0.50~0.92、P=0.006〕、CF-RT療法群の優越性は示されなかった。

 同試験の結果を受け、同学会ガイドライン委員会は「術前療法の推奨レジメンcStage Ⅱ、Ⅲ 食道がんに対して手術療法を中心とした治療を行う場合、術前化学療法、術前化学放射線療法のどちらを推奨するか?」について、「cStage Ⅱ、Ⅲ食道がんに対して手術療法を中心とした治療を行う場合、ドセタキセル+シスプラチン+5-FU 3剤併用術前化学療法を強く推奨する〔合意率84%(21/25)、エビデンスの強さA〕」とした。その根拠として、① JCOG1109 NExT試験において、術前化学療法の標準治療とされてきたCF療法に対し、術前DCF療法におけるOSの優越性が証明された、② JCOG1109 NExT試験において、術前化学療法の標準治療とされてきたCF療法に対し、CF-RF療法のOSの優越性が証明できなかった-ことを挙げている。

CF療法、CF-RT療法も選択肢として残す  

 ただし、JCOG1109 NExT試験は75歳までの症例を対象とし、多くの食道がん患者を扱うJCOG参加施設を対象とした臨床試験であることに鑑み、DCF療法について、その有害反応を熟知し、予防や対応を十分に経験している施設での治療が推奨されるが、「①高齢者や併存症などでDCF療法のリスクが高いと想定される症例、②DCF療法の管理に懸念がある場合-には、従来のCF療法も選択肢となりうる」としている。また、borderline resectable(T3からT4)の症例に対する術前化学放射線療法の意義が否定されたわけではなく、「症例に応じて照射を加味した術前治療も考慮される」とされた。  

編集部