新型コロナウイルスの感染再拡大を受け再開した自衛隊のワクチン大規模接種に、申し込みが殺到している。増枠した東京会場の4日の予約も開始約1時間で満了。自治体の3回目接種には予約の空きが目立ち、防衛省の担当者は「なぜうちだけ」と首をかしげる。
 岸田文雄首相の再開表明は1月11日。昨年11月に運営を終えた会場の片付けも終わらない中、「寝耳に水」の表明だった。
 人繰りが厳しい中、1月中の再開に向け急ピッチで準備し、同31日に東京会場で接種を開始。ただ会場設備の問題で、枠は昨年の1日1万人から、当初は約700人、1週間後に約2000人と大幅に縮小した。担当者は「規模と期日の間で、ぎりぎりの調整をした」と明かす。
 予約は初回が9分、2回目も15分で埋まる人気ぶり。接種のペースを上げたい政府の意向もあり、接種開始3日目には約5000人への拡大が決まった。自衛隊と同じモデルナ製ワクチンが避けられる傾向にあり、枠の余裕が目立つ自治体接種とは対照的だ。
 増枠の舞台裏は綱渡りだった。東京会場で昨年より数が減ったのは、老朽化したエレベーターの使用中止をメーカーに求められたことが原因。担当者がメーカーと協議し、計6基を2基ずつローテーションして酷使を避けることで了解を得て、上層階の会場化にこぎ着けた。
 大阪会場は昨年の会場が予約済みのため別のビルに変更した。規模は昨年の2割ほどの1日1000人弱が限界で、増枠に備え別会場を探す。担当者は「もういっぱいいっぱいだ」とこぼす。
 今後、自治体や職域接種の体制が整えば、希望者の減少も予想される。これまでの予約状況は60歳以下が約半数を占め、地元ではまだ高齢者しか打てないことを理由にした来場者が多いためだ。自衛隊には昨年の運営終盤、ニーズを読み違えて枠の9割超が空いた苦い記憶があり、今回は状況に応じ早期終了も想定する。「選ばれなくなれば、接種環境が整った証しだ」と待ち望む職員もいる。 (C)時事通信社