慢性腎臓病(CKD)に合併する高カリウム(K)血症にはK吸着薬が用いられるが、有効性に関するデータは限られ、高ナトリウム(Na)血症や低カリウム血症などのリスク増加の可能性も指摘されている。米・Montefiore Medical CenterのKatherine E.Di Palo氏らは、新規K吸着薬であるpatiromerの臨床的有用性を検討するため、急性の高K血症患者を対象とした後ろ向きのコホート研究を実施。その結果、patiromerは単剤投与で血清カリウム値の迅速かつ有意な低下に加え、低カリウム血症の発生率も低頻度だったと、JAMA Netw Open2022年1月26日オンライン版)に発表した。



主に軽度から中等度の高カリウム血症患者が対象

 高K血症は、CKD、高血圧糖尿病心不全の患者に合併し、致死的な不整脈や突然死を引き起こすこともある。patiromerはナトリウムを含まない陽イオン結合非吸着性ポリマーで、腸管内で過剰なKと結合し便とともに排泄、高K血症を改善するとされる。同薬は海外で既に発売されているが、日本国内では第Ⅲ相試験が進行中である。

 今回、Di Palo氏らは、米・ニューヨークの大規模学術医療センターであるMontefiore Medical Centerの電子健康記録データを用い、2018年1月30日~19年12月30日に救急科、入院病棟および集中治療室において高K血症の急性期治療としてpatiromerを1回投与された成人患者881例を対象とした。patiromer初回投与0~6時間後、6~12時間後、12~24時間後の3つの異なる時間間隔におけるベースラインからの血清K値の平均絶対変化量を主要評価項目とした。

 患者の平均年齢は67.4歳、男性が52.6%を占め、38.4%が非ヒスパニック系黒人、37.9%はヒスパニック系/ラテン系であった。

 併存疾患は161例(18.3%)で駆出率の低下を伴う心不全、665例(75.5%)で中等度~重度のCKDが含まれていた。高K血症を発症する前に42.0%でレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害薬、29.3%でACE阻害薬、16.0%でアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)、9.2%でアルドステロン拮抗薬が投与されていた。

 ベースラインの血清K値は平均5.60mEq/Lで、大半が軽度・中等度であった。重症度の内訳は、軽度(5.1~5.5mEq/L)450例、中等度(5.6~6.4mEq/L)412例、重度(6.5mEq/L以上)19例。patiromerの初回投与量は721例(81.8%)が8.4g、154例(17.5%)は16.8g、6例(0.7%)は25.2gであった。patiromer投与までの平均時間は6.7時間だった。

低カリウム血症の発現率は0.2%にとどまる

 Patiromer投与後の血清K値の絶対的変化量は、6時間以内で0.50mEq/L、6~12時間で0.46mEq/L、12~24時間で0.52mEq/L、いずれもベースラインから有意に低下した(p<0.001)。相対的低下率はそれぞれ8.5%、7.9%、9.0%であった。

 カリウム吸着薬の追加投与は、patiromer投与後24時間以内に15.5%(137例)で1回、2.2%(19例)で2回以上を要したが、82.3%(725例)では不要だった。また、低K血症(血清K値3.5mEq/L未満)はpatiromer投与後24時間までに2例、0.2%に認められた。

 Di Palo氏らは「高K血症の急性期治療において、patiromerの単剤投与が治療開始後6時間以内に血清K値の有意な低下をもたらした。カリウム吸着薬による高K血症のリスクを最小限に抑える可能性があることを示唆している」と述べている。

(宇佐美陽子)