【ワシントン時事】米国が銃犯罪の急増に悩まされている。2年にわたる新型コロナウイルス禍に伴う経済・社会不安が要因として指摘される中、対処する警官は不足。自衛のための銃購入も拡大し、バイデン政権は対応を迫られている。
 4日、南部バージニア州で開かれた銃の販売会は、入場に大行列ができる活況を呈した。「去年は売り上げが倍増した」。拳銃やライフルを出品するポール・ボスカさんはこう話す。初めて銃を持つ人や女性の購入が目立つといい、「暴動や犯罪が増えたのに、警察は数が少なく頼りにならない。人々は自分で自分の身を守ろうとしている」と説明する。
 連邦捜査局(FBI)の統計では、銃購入時に必要な身元調査件数は2019年の約2800万から20年に約4000万に急増し、21年も同水準で推移した。一方、20年の銃による死亡件数(自殺を除く)は、調査団体「ガン・バイオレンス・アーカイブ」の調べで1万9490件。前年から約25%増え、21年も2万805件と増加傾向にある。
 銃犯罪増加の背景には、コロナ禍の失業や孤独のストレスが指摘される。20年には白人警官による黒人男性暴行死をきっかけに、人種差別的で過剰な警察の取り締まりに抵抗する「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)」運動が起きたが、一部が過激化。治安悪化の遠因になったという見方もある。
 こうした中、予算減やコロナ感染リスクが警察活動を圧迫。過酷な勤務や抵抗運動で高まった批判に疲れ、より危険の少ない職業への転職者も出ている。
 バイデン大統領は3日、地域警察への支援を表明したが、過剰な警察活動に反対するリベラル派への配慮もあり、抜本的な対策は打ち出せていない。野党共和党は「犯罪者に甘い民主党」を攻撃材料に、11月の中間選挙の争点とする構えだ。 (C)時事通信社