米・Mayo ClinicのSteven R. Ytterberg氏らは、関節リウマチ(RA)患者4,000例超を対象にした非盲検非劣性試験ORAL SurveillanceでJAK阻害薬トファシチニブの安全性を腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬と比較。その結果、主要心血管イベント(MACE:心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の複合)および非メラノーマ皮膚がんを除くがんの発生率に関して、トファシチニブのTNF阻害薬に対する非劣性は示されなかったとN Engl J Med2022; 386: 316-26)に発表した。(関連記事「3剤の添付文書に重大な副作用を追記」)

ハザード比はMACEで1.33、がんで1.48

 トファシチニブをめぐっては、開発中に血中脂質値の上昇およびリンパ腫を含むがんの発生率の上昇が観察されたことから、米食品医薬品局(FDA)が同薬とTNF阻害薬をhead-to-headで前向きに比較する安全性試験の実施を求めていた。

 Ytterberg氏らは今回、メトトレキサートで十分な効果が得られず疾患活動性を有し、1つ以上の心血管危険因子を有する50歳以上のRA患者4,362例(平均年齢61.2歳、女性78.2%)を登録。トファシチニブ5mg(1,455例)または10mg(1,456例)を1日2回投与する群、TNF阻害薬(アダリムマブまたはエタネルセプト)を投与する群(1,451例)の3群に1:1:1でランダムに割り付け、中央値で4.0年追跡した。

 主要評価項目は、MACEおよび非メラノーマ皮膚がんを除くがんとした。非劣性マージンは、TNF阻害薬群に対するトファシチニブ群(5mg群と10mg群の合計)のハザード比(HR)の両側95%CI上限値が1.8未満と定義した。

 解析の結果、追跡期間中のMACE発生率は、TNF阻害薬群の2.5%(37例)に対しトファシチニブ群では3.4%(98例)と高かった(HR 1.33、95%CI 0.91~1.94)。非メラノーマ皮膚がんを除くがんの発生率も、TNF阻害薬群の2.9%(42例)に対しトファシチニブ群では4.2%(122例)と高かった(HR 1.48、95%CI 1.04~2.09)。

 MACEおよびがんの発生率のいずれも、HRの両側95%CI上限値が1.8を超えたため、TNF阻害薬に対するトファシチニブの非劣性は示されなかった。

一部の有害事象は多いが有効性は同等

 有害事象の評価では、トファシチニブは5mg群、10mg群ともにTNF阻害薬群と比べて日和見感染(帯状疱疹および結核を含む)、帯状疱疹(非重篤例および重篤例)、非メラノーマ皮膚がんの発生率が高かった。

 一方、疾患活動性スコア(SDAI)および身体機能スコア(HAQ-DI)に基づく有効性は3群ともほぼ同等で、寛解が投与開始の2カ月後から試験終了まで持続していた。

 以上を踏まえ、Ytterberg氏らは「心血管リスクが高い50歳以上のRA患者において、トファシチニブはTNF阻害薬と比べMACEおよびがんのリスクが高かった。ただし、有効性は両薬で同等だった」と結論している。

(太田敦子)