転移性膵がんの一次療法として複数の化学療法レジメンが臨床使用されているが、それらを直接比較した研究は限られている。明治薬科大学公衆衛生・疫学研究室の宅本悠希氏らは、約1万例のランダム化比較試験データを用いてネットワークメタ解析(NMA)を実施。ゲムシタビン(GEM)単独と比べ、FOLFIRINOXおよびGEM+アルブミン懸濁型パクリタキセル(nab-PTX)は死亡リスクの低下と関連していたことをJAMA Netw Open2022; 5: e2145515)に報告した。

NMAによるレジメン比較で国内GL・臨床の妥当性を検討

 日本膵臓学会の『膵癌診療ガイドライン2019年版』では、遠隔転移を有する膵がんの一次療法として、FOLFIRINOXおよびGEM+nab-PTXを強く推奨し、全身状態や年齢などによりこれらの治療が適さない患者に対しては、GEM単独、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(S-1)単独、GEM+エルロチニブを弱く推奨している。

 宅本氏らは、PubMed、Cochrane Library、Web of Science、および医学雑誌から2002年1月1日~2018年12月31日に発表された進行または転移性膵がんにおける一次化学療法を評価した2群間並行ランダム化試験を検索し、システマチックレビューおよびNMAを実施した。

 主要評価項目は全生存(OS)で、GEM単独療法と比較した。短期アウトカムについては、転移性膵がんの一次治療に使用されるGEM単独以外の全ての化学療法レジメンのOSとPFSのハザード比(HR)を評価。長期アウトカムについては、国内ガイドラインで転移性膵がん一次治療として推奨・提案する4レジメンの推定PFSとOSについて受信者動作特性(ROC)解析の曲線下面積(AUC)を評価した。

死亡リスクはFOLFIRINOXで43%、GEM+nab-PTXで28%低下

 8,680件の研究タイトルと要約から251件を抽出し、最終的に25件・1万186例(男性57.5%)を対象とした。研究のほとんどがGEMと他のレジメンの比較試験だった。対象の総数は1万186例で、男性が57.5%だった。

 その結果、GEM単独に対するFOLFIRINOXおよびGEM+nab-PTXのHRはそれぞれ0.57(95%CI 0.41〜0.79)、0.72(同0.55〜0.95)と、死亡リスクの有意な低下が認められた。()。

表. 各レジメン別に見たOSのHR

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JAMA Netw Open 2022; 5: e2145515)

 AUCによる生存率は、2人の腫瘍専門医が選定したGEMとその他の4レジメンを比較した4研究を比較。その結果、FOLFIRINOXが15.49人・月(範囲13.84〜15.51人・月)と最大だった。GEM+nab-PTXは12.36人・月(同10.98〜12.59人・月)、GEM+エルロチニブは10.84人・月(同9.66〜11.23人・月)、S-1は8.44人・月(同8.26〜9.74人・月)、GEM単独は8.10人・月(同7.93〜9.38人・月)だった。

 宅本氏らは「転移性膵がんに対し、日本で推奨されている第一選択レジメンを支持する結果が得られた」と結論している。

(小路浩史)

  • フルオロウラシル+レボホリナート+イリノテカン+オキサリプラチン