近年、腎がんおよび膀胱がんの罹患率は世界的に上昇しているが、生活習慣や食事との関連はよく分かっていない。国立がん研究センターがん対策研究所予防関連プロジェクトのグループは、甘味飲料の摂取量と腎がんおよび膀胱がんの関連を調査した結果をSci Rep(2021; 11: 21701)に発表。女性では、甘味飲料摂取量が1日当たり100mL増加すると、腎がんおよび膀胱がんの罹患リスクが上昇することが示されたと報告した。

45~74歳の7万3,024例が対象

 多量の果糖が含まれる甘味飲料は、食後高血糖、糖尿病高血圧肥満、腎機能低下と関連し、これらは腎がんの危険因子となる。また甘味飲料はグリセミック指数が高く、グリセミック指数は膀胱がんリスク上昇に寄与するという報告もある。しかし、甘味飲料の摂取量と腎がんおよび膀胱がんリスクとの関連について調べた疫学研究は少なく、結果も一貫していなかった。 

 そこで同グループは、1990年と1993年に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の10保健所管内(呼称は2019年現在)に在住していた男女で、両年ともアンケートに回答できた45~74歳の住民7万3,024例を対象に、甘味飲料摂取量と腎がんおよび膀胱がんの罹患リスクとの関連を調査した。

 甘味飲料の摂取量は、調査開始時に行ったアンケートの回答から算出し、男女別に甘味飲料を①摂取しない群(男性4,263例、女性6,380例)、②摂取量が少ない群(254mL/日未満、同1万4,366例、1万6,775例)、③摂取量が多い群(254mL/日以上、同1万4,365例、1万6,775例)-の3群に分類。摂取しない群を参照として、その後の腎がんおよび膀胱がんに罹患するリスクを比べた。また、摂取量が100mL/日ずつ増加したときのリスクも検討した。

 3群の主な患者背景は、平均年齢が55.2~58.2歳、BMIの平均は23.3~23.7。甘味飲料を摂取していた2群では、摂取しない群と比べて喫煙者、総エネルギー摂取量が多く、一方、摂取しない群ではアルコールの摂取量が多く、高血圧の既往例や糖尿病患者が多かった。

両がん種とも女性ではHRが1.11に

 中央値で15.8年追跡した結果、腎がんが69例、膀胱がんが297例に認められたものの、甘味飲料の摂取量別に行った解析では、男女とも、腎がんおよび膀胱がんと有意な関連はなかった。

 そこで、がん診断前のなんらかの体調不良や疾患のために甘味飲料の摂取量が減った可能性や、肥満高血圧糖尿病例では甘味飲料の摂取量を少なめに申告する可能性を除外するため、アンケート回答後3年以内のがん罹患を除いて解析した結果、甘味飲料摂取量が1日当たり100mL増加したときの女性における腎がんおよび膀胱がん罹患のハザード比(HR)はともに1.11(95%CI 1.01~1.22)だった()。

図. 甘味飲料の摂取量が100mL/日ずつ増加するごとの腎がんおよび膀胱がん罹患リスク

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(国立がん研究センターがん対策研究所プレスリリース)

 同グループは、今回の結果について「甘味飲料と腎がんに関するこれまでの報告では、統計学的有意な関連は認められておらず本研究でも同様だったが、がん診断前の体調変化などにより甘味飲料の摂取量が変化した可能性などを除外する目的でアンケート回答後3年以内のがん罹患例を除くと、甘味飲料の摂取量が増加するほど腎がんリスクが増加していた」と述べた。

 一方、甘味飲料と膀胱がんについて「先行研究では甘味飲料とリスク増加との関連が報告されており、本研究でも追跡開始後3年間のがん罹患例を除外すると、甘味飲料摂取量が増加するほど膀胱がんリスクは増加していた」と指摘。これらのことから、「がん診断前に体調が変化した例、糖尿病例などでは、アンケート回答時に甘味飲料の摂取量を少なめに回答していたことなどが影響し、腎がん、膀胱がんとも関連が見られなかったものの、アンケート回答後3年以内のがん罹患を除いた結果、腎がんおよび膀胱がんとの関連が見られたと考えられる」としている。

編集部