眼科領域における初の二重特異性抗体faricimab。同薬は網膜疾患の要因となるアンジオポエチン-2(Ang-2)と血管内皮増殖因子-A(VEGF-A)が関与する2つの異なる経路を標的としており、昨年(2021年)6月に糖尿病黄斑浮腫(DME)および新生血管を伴う加齢黄斑変性(nAMD)を適応として承認申請が行われている(関連記事「糖尿病黄斑浮腫および加齢黄斑変性でfaricimabが国内承認申請」)。両疾患を対象とした同薬の複数の第Ⅲ相試験の1年時点における解析結果がLancetに報告。半数の症例で投与間隔を4カ月に延長することができた。

加齢黄斑変性、視力改善効果はアフリベルセプトに非劣性

 1つ目は、nAMDを対象にfaricimabの有効性と安全性をアフリベルセプトと比較した同一デザインの第Ⅲ相ランダム化比較試験TENAYAおよびLUCERNE(lancet 2022年1月21オンライン版)。

 nAMD患者1,329例(TENAYA試験671例、LUCERNE試験658例)を、①faricimab 6.0mgを導入期投与後、疾患活動性評価に応じて8、12、16週のいずれかの間隔で投与するfaricimab群(TENAYA試験334例、LUCERNE試験331例)、②アフリベルセプト2.0 mgを導入期投与後、8週間隔で投与するアフリベルセプト群(同337例、327例)―にランダムに割り付けて検討。

 主要評価項目は40、44、48週時点の最高矯正視力(BCVA)スコアの平均変化量、副次評価項目はfaricimabの投与間隔を延長した患者の割合、安全性などだった。

 検討の結果、TENAYA試験およびLUCERNE試験のBCVAスコア変化量は、アフリベルセプト群の+5.1文字、+6.6文字に対して、faricimab群では+5.8文字、+6.6文字であり、いずれもアフリベルセプト群に対する非劣性が認められた。

 投与1年時点におけるfaricimab群の投与間隔については、TENAYA試験の46%、LUCERNE試験の45%が4カ月間隔投与を達成した。3カ月間隔投与の達成率はそれぞれ34%、33%で、8割近くの症例が3カ月以上の投与間隔を達成した。

 有害事象の発生率はfaricimab群(TENAYA試験36.3%、LUCERNE試験40.2%)、アフリベルセプト群(同38.1%、36.2%)で同様で、nAMD患者に対する抗VEGF抗体の眼内注射治療で予期される事象と一致していた。

糖尿病黄斑浮腫でも良好な成績

 同一デザインの第Ⅲ相ランダム化比較試験YOSEMITEおよびRHINEでは、DME患者を対象としてfaricimabの有効性と安全性をアフリベルセプトと比較(lancet 2022年1月21オンライン版)。

 1,891例(YOSEMITE試験940例、RHINE試験951例)を、①faricimab 6.0mgを導入期投与後、8週間隔固定で投与するfaricimab群(YOSEMITE試験315例、RHINE試験317例)、②faricimab 6.0mgを導入期投与後、個々の参加者に応じて最長16週間隔で投与するfaricimab投与間隔延長群(同313例、319例)、③アフリベルセプト2.0mgを導入期投与後、8週間隔固定で投与するアフリベルセプト群(同312例、315例)―にランダムに割り付けた。

 主要評価項目は48、52、56週時点のBCVAスコアの平均変化量、副次評価項目はfaricimabの投与間隔を延長した患者の割合、安全性などだった。

 検討の結果、YOSEMITE試験およびRHINE試験のBCVAスコア変化量は、アフリベルセプト群の+10.9文字、+10.3文字に対して、faricimab群は+10.7文字、+11.8文字、faricimab投与間隔延長群は+11.6文字、+10.8文字で、いずれもアフリベルセプト群に対する非劣性が認められた。

 faricimab投与間隔延長群の投与間隔については、YOSEMITE試験では53%、RHINE試験では51%が4カ月間隔投与を達成した。3カ月間隔投与の達成率はそれぞれ21%、20%であり、約7割の症例で3カ月以上の投与間隔が可能となった。

 有害事象の発生率はfaricimab群(YOSEMITE試験31%、RHINE試験43%)、faricimab投与間隔延長群群(同34%、37%)、アフリベルセプト群(同33%、36%)で同様で、nAMD患者に対する抗VEGF抗体の眼内注射治療で予期される事象と一致していた。

 なお、今月(2022年2月)開催されるAngiogenesis, Exudation, and Degeneration 2022において、DMEに対する2年時点の成績が報告される予定である。

(安部重範)