国立循環器病研究センターの研究者らは、日本の前向き登録研究SAMURAI-NVAFとRELAXEDの統合解析結果から、非弁膜症心房細動(NVAF)による脳梗塞患者における再発予防のための直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)の適切な服用開始日を重症度に応じ発症から4日以内とする「1-2-3-4日ルール」を提唱。詳細をStroke2022年2月3日オンライン版)に発表した。

早期開始で脳卒中/全身性塞栓症リスク低下

 NVAFによる脳梗塞発症直後は脳梗塞再発リスクが高い。そのため、欧州のガイドラインでは、一過性脳虚血発作(TIA)は発症1日後、軽症脳梗塞は3日後、中等症は6日後、重症は12日後を目安にDOACを始める1-3-6-12-day ruleを推奨している。しかし、これは臨床現場におけるDOAC開始日と乖離している。

 そこで研究者らは、2011年9月~14年3月にSAMURAI-NVAF、2014年2月~16年4月にRELAXEDに登録された虚血性脳卒中またはTIA発症後7日以内に医療機関を受診しDOACを服用したNVAF患者を対象に、DOACの適切な服用開始日を検討した。患者は神経学的重症度に基づき、神経症状が24時間以内に消失した場合をTIA、米国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)スコアが0~7を軽症脳梗塞、8~15を中等症脳梗塞、16以上を重症脳梗塞として分類した。

 主要評価項目は、TIA/脳梗塞発症後90日以内の脳卒中(虚血性/出血性)の再発または全身性塞栓症の発症の複合とした。

 解析対象は1,797例(年齢中央値77歳、女性730例)。内訳はTIA 67例、軽症脳梗塞899例、中等症脳梗塞370例、重症脳梗塞461例で、DOAC開始日の中央値は、それぞれ発症後2、3、4、5日だった。

 DOAC開始日の中央値以降にDOACを始めた患者を後期開始群(1,012例)、中央値の前日(1、2、3、4日後)以前にDOACを始めた患者を早期開始群(785例)とすると、後期開始群に比べ早期開始群では90日以内の脳卒中または全身性塞栓症リスクが50%〔発症率3.9% vs. 1.9%、調整ハザード比(HR)0.50、95%CI 0.27~0.89、P=0.019〕、脳梗塞リスクが46%(同3.2% vs. 1.7%、0.54、0.27~0.999、P=0.0497、図1-左)有意に低かった。大出血リスクは両群で有意差がなかった(同1.0% vs. 0.8%、0.81、0.28~2.19、P=0.687、図1-右)。

図1. 早期開始群と後期開始群のイベント発生率

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 今回のSAMURAI-NVAFとRELAXEDの統合解析結果を、欧州の多施設共同研究3件(RAF、RAF-NOAC、CROMIS-2)および単施設研究3件(NOACISP LONGTERM、 Erlangen registry、Verona registry)、計6件の統合データベースを用いて外部検証した。その結果、早期開始群(547例)と後期開始群(1,489例)で脳梗塞(2.4% vs. 2.2%)と頭蓋内出血(0.2% vs. 0.6%)の発生率に有意差は認められなかった。

 以上から、研究者らは「日本および欧州のNVAFによる脳梗塞患者では、TIA、脳梗塞の重症度に応じてそれぞれ発症後1、2、3、4日以内にDOACを開始することで、大出血を増加させずに脳卒中または全身性塞栓症のリスクを低減させられることが示された(図2)」と結論した。その上で「1-2-3-4日ルールは、欧州の発症1、3、6、12日後の開始基準に比べ、より臨床医の経験に基づく判断に近い基準と考える。現在世界中で、適切なDOAC開始日を探求する臨床試験が行われており、それらの臨床試験でも、今回われわれが提唱する1-2-3-4日ルールの妥当性が証明されることを願っている」と付言した。

図2. 脳梗塞発症後早期の適切なDOAC服用開始基準としての「1-2-3-4日ルール」

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(図1、2とも国立循環器病研究センタープレスリリース)

(大江 円)