新型コロナウイルス禍で経営に打撃を受けた中小企業の事業再生を後押しするため、政府が私的整理で再建を目指す事業者への優遇税制を拡充することが9日、明らかになった。私的整理後の事業再生に向けた計画策定に当たり、弁護士や公認会計士ら専門家に支払う経費に対する補助金も増額する。全国銀行協会が策定中の中小企業向け私的整理指針と併せ、4月から適用する。
 政府などによる資金繰り支援の効果でコロナ禍でも中小企業の倒産件数は抑えられているが、過剰な債務は収束後の中小企業経営を圧迫するとの懸念が根強い。このため、政府と全銀協は経営に行き詰まった中小企業を法的整理によらず、速やかに再建させる手だてを検討してきた。
 企業が借入金の返済を免除された場合は贈与と見なされ、「債務免除益」として一部が課税される。今回の税制優遇措置は、新指針に沿って事業再生計画を策定することを条件に、債務免除益と過去の損失を相殺できる期間の制限をなくし、税負担を軽減する。廃業する場合も、新指針に応じて弁済計画を策定すれば税制上の恩恵を受けられるようにする。
 再生計画の策定に対する補助金は、専門家を雇う経費の3分の2を支給する既存制度の適用範囲を拡大。その上で、上限額を現行の200万円から大幅に引き上げる。
 全銀協の新たな指針は、金融機関による債権放棄の条件などについて、中小企業の経営実態を踏まえた柔軟な対応を促す。経営責任についても、コロナ禍や自然災害など外的要因に配慮し、必ずしも経営者の退任を求めないことを明示する。
 また、債務減免や返済猶予などを速やかに行うため、債権者会議で反対する金融機関には理由の説明を義務付ける。2001年に策定した大企業向けの指針では、適用企業に対して「3年以内」に債務超過を解消するよう求めているが、中小向けの新指針は「5年以内」に緩和する。 (C)時事通信社