藤田医科大学大学院保健学研究科准教授の藤垣英嗣氏および山本康子氏、教授の齋藤邦明氏らの研究グループは、新コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン3回目接種後の抗体価を調査した研究結果を発表。3回目接種後には抗体価が、2回目接種後の2.3倍、3回目接種前の27.9倍に上昇したことを明らかにした。研究グループは「2回目接種から時間が経過するほど抗体価が低下する人が増える」として、「2回目接種から半年以上経過した人は、オミクロン株に対する発症・重症化予防効果を高めることが期待されるSARS-CoV-2ワクチンの3回目接種を早めに受けてほしい」と呼びかけている。

接種から6カ月後に抗体価は12分の1に低下

 研究では、同大学病院職員・教職員198例(男性62例、女性136例)を対象に、ファイザー製のSARS-CoV-2ワクチン(トジナメラン)を接種。接種前から3回目の接種後の6回にわたり、血液中の SARS-CoV-2受容体結合ドメイン(RBD)に対するIgG抗体価を測定、経時的な変化を調べた。IgG抗体価の測定時期は、①ワクチン接種前、 ②1回目接種から約14日後、 ③2回目接種から約14日後、④2回目接種から約70日後、 ⑤2回目接種から約6カ月後、 ⑥3回目接種から約14日後―。また、3回目接種前の職員3,325例の健康診断時に得られた血液(男性1,176例、女性2,149例)を用いて同様の方法でIgG抗体価を測定した。

 解析の結果、2回目接種から約6カ月経過後の抗体価の平均値は18.55U/mLで、2回目接種直後(228.76U/mL)の12分の1に低下していた。一方、3回目接種後の抗体価は517.63U/mLで、2回目接種後の2.3倍、 3回目接種前の27.9倍に上昇したことが判明した。

 さらに、健康診断時のIgG抗体価を調査したところ、ワクチンの2回目接種から約1カ月後の抗体価は高い水準だったが、性別にかかわらず接種してから日数が経過するほど抗体価が低い人が多い傾向にあったという。

ワクチン3回接種により2回目接種後より高い予防効果を期待

 以上を踏まえ、研究グループは「2回目のワクチン接種後に上昇した抗体価は約半年で12分の1に低下すること、また3回目の追加接種を行うことで抗体価が再び上昇することを見いだした」と結論。「追加接種の前倒しが必要な理由を反映した結果だと思われる。3回目接種後の抗体価の平均値は2回目接種後の2倍以上に上昇しており、予防効果は2回目接種後よりもさらに高まることが期待される」と付言している。

 現在世界中で猛威を振るっているSARS-CoV-2変異株のオミクロン株に対するワクチン接種による予防効果は、従来の変異株よりも低下することが知られている一方で、 ワクチンの3回目接種により予防効果が回復することも報告されている。今回の研究結果は海外の研究データとも一致しているとして、「日本人においてもSARS-CoV-2ワクチン3回目接種が有用といえる。2回目接種から時間が経過するほど抗体価が低い人が増えるため、半年以上経過した人はできるだけ早く3回目接種を受けることでオミクロン株に対する発症・重症化予防効果を高めることができる」としている。

(小沼紀子)