新型コロナウイルス対策の「切り札」とされた経口治療薬。供給体制に不満の声も上がるなど課題は残るが、特に高い重症化予防効果が見込まれるファイザー製に期待が集まる。
 「主にオンライン診療で処方している」と話すのは、夜間や休日の往診などを行うファストドクター代表の菊池亮医師(35)。昨年末に承認されたメルク製の飲み薬「モルヌピラビル」の実用化を、「外来や在宅療養の敷居を下げた」と評価する。
 一方で、供給体制には不満の声も上がる。経口薬は一般流通しておらず、厚生労働省がメーカーから買い上げ、事前に登録した医療機関や薬局が患者へ届ける仕組み。同省によると、モルヌピラビルは1月15日時点で全国計約1万の医療機関と薬局に約3万4000人分配送されたが、1施設が持てる在庫は原則3人分に限られる。
 このため院内処方は積極的にできず、ファストドクターでは薬局を通じ翌日患者へ届けるようにしている。その都度、受発注して配送する現場の負担は大きく、取り扱う調剤大手は「薬局は疲弊している」と漏らした。
 オミクロン株感染の中心が若年層から高齢者へ移りつつある中、重症化リスクの高い人に処方される経口薬の需要は高まっている。今後はファイザー製の「パキロビッドパック」承認による供給量増加が見込まれる。パキロビッドパックは重症化リスクを90%近く減らす効果も報告されており、菊池氏は「不安にさいなまれている自宅療養者に安心を提供できる」と期待する。
 ただ、パキロビッドパックは併用できない薬が多く存在し、飲み合わせには注意が必要だ。菊池氏は「常用薬を説明できない人もいる。高齢者で認知機能に問題があればなおさらだ」と課題も指摘する。 (C)時事通信社