膵臓(すいぞう)でインスリンを作る「膵島(すいとう)細胞」に特定の遺伝子を発現させ増殖に成功したと、東京大などの研究グループが発表した。糖尿病根治への応用が期待できるという。論文は10日付の英医学誌電子版に掲載された。
 糖尿病は膵島細胞から分泌されるインスリンの不足で発症し、世界には推定4億人超の患者がいる。膵島細胞は出生前後は活発に増えるが、その後は増殖能力を失う。そのため糖尿病の治療はインスリン製剤投与などの対症療法が主流だ。
 研究グループは、出生前のマウスの膵島細胞で、人工多能性幹細胞(iPS細胞)作製に使われる遺伝子「MYCL」が発現することを発見。成体のマウスから分離した膵島細胞で同遺伝子を発現させると、活発な増殖が見られた。マウスの生体内や、脳死ドナー由来のヒトの膵島細胞でも同様の結果が出た。
 糖尿病マウスで実験すると、細胞でインスリンが産生され、血糖値が改善した。東大医科学研究所の山田泰広教授は「ドナー由来の膵島細胞にMYCLを発現させて増殖させ、患者に移植する臨床試験を5年後をめどに実施できれば」と話している。 (C)時事通信社