岸田文雄首相は12日、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の流入抑制のため実施している外国人の新規入国原則停止を柱とする水際対策について「緩和の方向で検討していきたい」と表明した。政府は現行対策の期限である2月末に合わせて大幅に緩める案を軸に検討しており、具体的内容の検討を急ぎ、近く発表する方針だ。
 国内で猛威を振るう感染第6波は収束の兆しが見えない。ただ、経済界を中心に、オミクロン株の流入を水際で食い止める意味は薄れているとして、水際対策の緩和を求める声が強まっている。自民党内にも「留学生が日本に来られず、日本が世界の中で立ち遅れていく」(安倍晋三元首相)との懸念がある。
 政府は1日当たり3500人程度としている入国・帰国枠を拡大する方向で調整。入国できるビジネス関係者や留学生の範囲を広げ、入国後の7日間の待機期間も短縮する方向で検討している。政府は感染状況を見極め、緩和の内容や時期を最終判断する。
 首相は12日、羽田空港で記者団に、水際対策について「さまざまな意見があることは十分承知している。緩和に向けた検討を進めていきたい」と明言した。政府はこれまで原則入国停止という「骨格」を維持しつつ、国費留学生やスポーツ選手などの例外を個々に認めてきたが、首相は「骨格自体どうあるべきか見直す」と語った。
 首相は「変異種(BA.2)も含めたオミクロン株に対する科学的知見の蓄積、内外の感染状況の変化、海外の水際対策のありようを総合的に勘案して検討を進めていく」とも語った。
 これに先立ち、首相は羽田空港の抗原定量検査の現場などを視察し、航空会社スタッフと車座で意見交換。パイロットからは「外国人技術者の入国が制限され、(操縦)訓練に影響が出ている。制限緩和を切に望む」との声が上がった。
 政府は感染力の強いオミクロン株の感染拡大を受け、昨年11月30日から外国人の新規入国を原則停止し、1日当たりの入国者数を3500人程度に限定。当初は期限を年末としたが、段階的に2月末まで延長した。 (C)時事通信社