新型コロナウイルスワクチンの3回目の職域接種に向け、旅客や小売りなどの主要企業が対応を急いでいる。日本航空と全日本空輸が14日、海外との往来が多い国際線パイロットや客室乗務員らを対象に本格的に開始。変異株「オミクロン株」の感染が拡大する中、従業員の健康維持は安全なサービス継続の大前提となるだけに、多くの企業が早期の接種完了を目指し作業を加速している。
 「接種が健康につながり、お客さまに安心して乗っていただければ」。14日、羽田空港で接種を受けた日本航空の客室乗務員、松本悠花さん(26)は報道陣にこう語り、3回目接種が同僚や利用者の不安軽減につながると期待を示した。日航と全日空は今後、1日当たり最大500人程度に実施する方針だ。
 接客機会が多い旅客や小売業界にとって、3回目接種はとりわけ重要だ。JR東日本は列車の運行に欠かせない運転士や乗務員らを中心とする最大4万5000人に対し、3月1日から実施する。
 大丸松坂屋百貨店を傘下に持つJ・フロントリテイリングは社員やその家族、アルバイトらを対象に3月前半から開始。コンビニエンスストア大手ファミリーマートも「安心して買い物ができる店舗環境の構築」を目指し、社員や加盟店の希望者ら約8000人に3月中旬から全国11都市で順次始める見通しだ。
 このほか、野村ホールディングスが東京での職域接種を当初予定から5日早めて今月16日にスタートし、伊藤忠商事は21日の開始予定を今週中に前倒しする方向で調整。通信各社や電機メーカー、自動車大手などでも実施に向けた動きが相次ぐ。
 一方、負担の重さなどを理由に実施に踏み切れない企業もあり、「取引先も含めて接種するには時間も場所も足りない」(小売り大手)との声が上がっている。 (C)時事通信社