2型糖尿病患者において、血清ビタミンB12値および血清葉酸値は心血管疾患(CVD)による死亡のリスクと非線形の関係にあり、血清ビタミンB12値は低値でも高値でも、血清葉酸値は低値でCVD死のリスクが有意に上昇することが2型糖尿病患者約8,000例を対象にした前向きコホート研究で示された。中国・Tongji Medical College, Huazhong University of Science and TechnologyのYujie Liu氏らがJAMA Netw Open2022; 5: e2146124)に発表した(関連記事「血中ビタミンB12高値で全死亡が増加」)。

2型糖尿病患者はビタミンB12、葉酸ともに低値傾向

 2型糖尿病患者では、メトホルミンとの相互作用や栄養不良によるビタミンB12欠乏の頻度が高く、血中の葉酸濃度も健常者に比べて著しく低いことが示されている。しかし、これまでの疫学研究ではビタミンB12値と死亡リスクに関するエビデンスは乏しく、葉酸値と死亡リスクとの関連性も不明である。

 そこで、Liu氏らは血清ビタミンB12値および血清葉酸値とCVD死リスクとの関連を検討するため、1999~2014年の米国民保健栄養調査(NHANES)および1988~94年のNHANESⅢのデータから20歳以上の2型糖尿病患者8,067例を抽出。このうち、ビタミンB12の解析コホートに4,860例(同57.8歳、50.7%)、葉酸の解析コホートに7,700例(平均年齢57.8歳、男性50.5%)を組み入れた。

 制限付き3次スプライン解析を用いて血清ビタミンB12値および血清葉酸値とCVD死との非線形関係を評価し、交絡因子を調整した多変量Cox比例ハザード回帰モデルを用いてCVD死のハザード比(HR)を算出した。

ビタミンB12:最低値群で1.74倍、最高値群で2.32倍

 ビタミンB12コホートでは、4万3,855人・年の追跡期間中にCVD死が467例発生していた。

 血清ビタミンB12値とCVD死リスクとの間にも非線形関係が認められた(非線形性のP=0.04)。血清ビタミンB12値の第2四分位群(369.1~506.0pg/mL)に対するCVD死のHRは、第1四分位群(369.1pg/mL未満)で1.74(95%CI 1.20~2.52)、第4四分位群(703.5pg/mL以上)で2.32(同1.60~3.35)と算出され、低値群でも高値群でもリスクが高かった。

葉酸:中等値群と比べ最低値群でCVDリスク1.43倍

 葉酸コホートでは、7万2,031人・年の追跡期間中にCVD死が799例発生していた。

 解析の結果、血清葉酸値とCVD死リスクとの間には非線形関係が認められた(尤度比検定による非線形性のP=0.04)。血清葉酸値の第2四分位群(7.1~12.1ng/mL)に対するCVD死のHRは、最低の第1四分位群(7.1ng/mL未満)で1.43(95%CI 1.04~1.98)、最高の第4四分位群(19.5ng/mL以上)で1.03(同0.74~1.44)と算出され、低値群でリスクが有意に高かった。

 以上を踏まえ、Liu氏らは「2型糖尿病患者においては、血清ビタミンB12値と血清葉酸値を中等値に保つことでCVD死リスクを低下できる可能性がある」と結論。さらに、これらの値とCVD死リスクを関連付けるメカニズムについて、「血清ビタミンB12高値は、末梢組織における機能性ビタミンB12欠乏や肝機能・腎機能障害を反映している可能性がある。また、葉酸欠乏は、CVDリスク上昇に関連するホモシステインの蓄積につながる可能性がある」と考察している。

(太田敦子)