川崎病は原因不明の疾患だが、ウイルスや細菌の感染が発症の引き金となっている可能性が指摘されている。こうした中、韓国・Yonsei University College of MedicineのJi-Man Kang氏らは、韓国の国民データを用いたコホート研究で14種類の感染症川崎病の経時的相関について検討。川崎病の集団発生に、その1~3カ月前に発生したライノウイルス感染症RSウイルス感染症、水痘のアウトブレイクが有意に相関していたとする解析結果をJAMA Netw Open2022;5:e2147363)に報告した。

COVID-19対策で他の感染症とともに川崎病も減少

 川崎病は乳幼児期に好発する疾患で、特に東アジア系の人種における有病率が高い。明確な原因は今のところ特定されていないが、細菌やウイルスなどの感染が関与している可能性が指摘されている。

 一方、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行が始まって以降、各国で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染拡大を抑制するためにソーシャルディスタンスの保持やマスクの着用、濃厚接触者の追跡および隔離などの非薬物的介入(nonpharmaceutical interventions;NPI)が行われてきたが、こうした介入はCOVID-19以外の感染症の減少にも関連していることが示されている。Kang氏らもまた韓国で同様の関連が認められたこと、NPIが川崎病の発生数の減少に関連していたことを2021年に報告している。

 COVID-19を発症した小児では軽症例が多いが、一部の患児でCOVID-19の罹患から数週間後に川崎病様の症状を特徴とする小児多系統炎症性症候群(MIS-C)を発症する例が複数の国々で報告されている。そこで、Kang氏らは今回、MIS-Cに類似した症状を呈する川崎病においてもトリガーとなる感染から遅れて発症する可能性があると考え、韓国の国民医療保険サービスや疾病管理庁(KCDC)などのデータを用いて市中感染の主な原因となっているウイルス感染と川崎病の経時的相関について検討した。

0~19歳の川崎病患者5万例超を解析

 ウイルス感染症川崎病の相関性に関する時系列解析には、韓国における感染症の国民データベースを用いた。また、感染症のアウトブレイクと川崎病のアウトブレイクの経時的相関はGranger因果性検定(G検定)を用いて評価した。

 対象は、2010年1月~20年9月に川崎病と診断された0~19歳の患者5万3,424例。女児または女性の割合は42.1%、男児または男性の割合は57.9%で、4万4,276例(82.9%)が5歳未満であった。

 解析には11種類のウイルス感染症RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、メタニューモウイルス、ライノウイルス、インフルエンザウイルス、ボカウイルス、ロタウイルス、ノロウイルス、エンテロウイルス)と、3種類の届出感染症(水痘、ムンプス、猩紅熱)の計14種類を組み入れた。

 解析の結果、韓国における川崎病の集団発生には、その1~3カ月前に発生したライノウイルス感染症のアウトブレイクが有意に相関していた(r=0.3、1カ月前、2カ月前、3カ月前のいずれもP<0.001)。同様に、川崎病の集団発生には、その2カ月前に発生したRSウイルス感染症のアウトブレイク(r=0.5、P<0.001)と、2カ月前および3カ月前の水痘のアウトブレイク(r=0.7、2カ月前、3カ月前のいずれもP<0.001)が有意な相関を示した。

 一方、ノロウイルスやロタウイルス、エンテロウイルスといった腸管系ウイルスを原因とする感染症のアウトブレイクと川崎病の集団発生との間に経時的相関は認められなかった。

(岬りり子)