季節性インフルエンザウイルスは市中肺炎の主な原因菌だが、市中肺炎で入院した成人患者へのインフルエンザ検査の施行頻度や治療法、転帰などは明らかでなかった。米・Center for Value-Based Care Research, Cleveland ClinicのAbhishek Deshpande氏らは、同国の患者データベースに登録された市中肺炎による入院患者16万6,000例超を解析。インフルエンザ検査を受けた患者の12%が陽性となり、入院当日にオセルタミビルを投与した患者では14日以内の院内死亡率が有意に低かったと、Chest2022年2月5日オンライン版)に報告した。インフルエンザ検査施行の重要性が示唆された。

医療費の抑制や在院日数の短縮にも好影響

 今回、Deshpande氏らは、肺炎患者へのインフルエンザ検査施行と抗ウイルス治療や抗生物質の投与期間短縮との関連、早期の治療と臨床転帰との関連について検討するため、同国の医療機関179施設が登録する患者データベースを基に解析した。

 対象は、2010~15年に市中肺炎で入院した成人16万6,268例。インフルエンザ検査施行の割合、検査結果、抗菌薬使用量、転帰について、検査非施行患者と比較した。さらに、早期のオセルタミビル投与と14日以内の院内死亡率、在院日数、医療費との関連を検討した。

 入院後、インフルエンザ検査を受けたのは23.3%で、うち11.5%が陽性と判定された。なお、同期間における検査施行率は15.4%から35.6%に上昇。インフルエンザシーズン中(10~5月)の検査施行率は28.9%であったのに対し、6~9月は8.2%に低下していた。

 インフルエンザ陰性例に比べ陽性例では、オセルタミビルの投与頻度が高いだけでなく、抗菌薬の投与頻度が低く投与期間も短かった(5.3日 vs. 6.4日、P<0.001)。

 またインフルエンザ陽性例において、オセルタミビル投与が遅延または非投与の患者に比べ入院初日に同薬を投与した患者では、14日以内の院内死亡リスクが有意に低減(調整後オッズ比0.75、95%CI 0.59~0.96)。さらに、医療費の有意な抑制(ratio of means 0.88、95%CI 0.81~0.95)や在院日数の有意な短縮(同0.88、0.84~0.93)が認められた。

シーズン中も低い検査施行率を指摘

 Deshpande氏らは、インフルエンザシーズン中であるにもかかわらず、市中肺炎による入院患者に対するインフルエンザ検査の施行率が3割程度だった点を指摘。「インフルエンザ陽性例では抗ウイルス薬による早期治療が死亡率の低下と有意に関連しており、検査施行の普及により転帰が改善する可能性が示唆された」と述べている。

(田上玲子)

修正履歴(2022年2月18日):インフルエンザウイルスの表記を修正しました