日本集中治療医学会と日本救急医学会は2学会合同の『日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG)2020』の特別編として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の薬物療法に特化した『COVID-19薬物療法に関するRapid/Living recommendations』を作成し、随時更新している。2月9日に新たに第4.2版を公開、重症患者に対するJAK阻害薬バリシチニブ投与を「弱く推奨する」と変更された。

COV-BARRIER試験の結果を踏まえ、推奨を変更

 昨年(2021年)9月の改訂第4.0版では、クリニカルクエスチョン(CQ)について全面改訂を実施した他、新たにCQ-9として抗体カクテル療法〔抗新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体カシリビマブ/イムデビマブ〕に関する記載が追加された(関連記事「敗血症GL、コロナ治療のCQ追加」)。

 また、同年11月の改訂第4.1版では、CQ7の抗凝固療法に対して投与量に関するCQ7-2、抗SARS-CoV-2抗体ソトロビマブに関するCQ9-2が追加された。

 今回の改訂では、CQ8のバリシチニブ投与に関し、人工呼吸器管理/集中治療を必要とする重症患者に対するバリシチニブ投与が「推奨を提示しない」から「弱く推奨する(弱い推奨/低の確実性のエビデンス:GRADE 2C)に変更された。

 この変更は、バリシチニブ投与によりプラセボと比べて全死亡率の有意な低下が示された第Ⅲ相ランダム化比較試験COV-BARRIERの重症患者コホート(101例)における探索的解析の結果に基づくもの(関連記事「JAK阻害薬で重症コロナの死亡リスク減」、Lancet Respir Med 2022年2月3日オンライン版)。

 同試験を含む2件のランダム化比較試験の成績から、望ましい効果は「大きい」、望ましくない効果は「わずか」であるものの、エビデンスの確実性は「低」であることから弱い推奨とされた。

 ただし検討事項として、日本におけるバリシチニブのCOVID-19治療薬としての用法はレムデシビルとの併用投与であるのに対し、同試験の重症患者コホートで標準治療としてレムデシビルが投与されていたのは101例中2例(2%、いずれもプラセボ群)のみであった点に留意する必要があるとしている。

(安部重範)