新型コロナウイルス感染症(CAOVID-19)に対するワクチンの開発は未曾有のスピードで進み、さまざまな報告で有効性が報告されている。しかし、昨年(2021年)11月末以降に世界各地で急速に流行拡大したオミクロン株では、ワクチンの有効性が減弱する可能性が指摘されている。国立感染症研究所感染症疫学センターの新城雄士氏らは、検出株の9割以上がオミクロン株であったと想定される今年1月3〜31日に実施した症例対象研究の暫定結果を報告した。

関東地方の13施設・1,352人が対象

 研究対象は、前述の期間に関東地方の医療機関13施設の発熱外来を受診した20歳以上の成人男女で、検査前に基本属性、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン接種歴などを含むアンケートを実施。PCR検査の結果により陽性の症例群、陰性の対照群に分けた。

 解析対象は、発症から14日以内に37.5℃以上の発熱、全身倦怠感、寒気、関節痛、頭痛、鼻汁、咳嗽、咽頭痛、呼吸困難感、嘔気・下痢・腹痛、嗅覚味覚障害の症状のうち、いずれか1つがある者とした。

 ワクチン接種歴は、①未接種、②1回目接種後、③2回目接種後0〜60日、④同61〜120日、⑤同121〜180日、⑥同181日以降、⑦3回目接種後―に分類した。解析に際しワクチンの種類は区別しなかった。

 ロジスティック回帰モデルを用いて、世代、性、基礎疾患の有無、医療機関、暦週、濃厚接触歴の有無、過去1カ月のSARS-CoV-2検査の有無、3カ月以上前のCOVID-19診断歴の有無を調整し、オッズ比(OR)を算出した。

 1,755人が調査に同意し、発症日不明および発症から15日以降に受診した69人、症状のなかった334人を除く1,352人を解析に組み入れた。年齢中央値は35歳(範囲20〜92歳)男性は50.8%で、25.3%がなんらかの基礎疾患を有していた。症例群は547例(40.5%)、対照群は805例(59.5%)だった。

 ワクチン接種歴は未接種が16.0%、1回接種が1.2%、2回接種が81.1%、3回接種1.7%だった。ワクチン接種歴を有する者の43.8%が接種記録書の原本や写真を携帯していた。ワクチンの種類はファイザー製が56.4%、モデルナ製が41.6%、不明が1.7%、混合・その他が0.4%だった。

ワクチン接種後の期間経過で有効性は減弱も、3回目接種で81%に増強

 症例群、対照群を7つのカテゴリーで分類したワクチン接種歴はの通り。調整ORに基づくワクチン有効率は、2回目接種後0〜60日では71%(95%CI 36〜87%)、2回目接種後61〜120日では54%(同29〜70%)、2回目接種後121〜180日では49%(同25〜65%)、2回目接種後181日以降では53%(同16〜74%)と経時的な減弱傾向が見られたものの、3回目接種後では81%(同41〜94%)と増強していた(いずれも暫定値)。

表. ワクチン接種歴別に見た感染リスク

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〔国立感染症研究所「新型コロナワクチンの有効性を検討した症例対照研究の暫定報告(第三報)」〕

 新城氏らは「オミクロン株流行期において、ワクチン2回目接種後2カ月以降には有効性が減弱していた。しかし症例数は少ないものの、3回目接種を受けた者ではオミクロン株感染によるCOVID-19発症予防効果が高まる可能性が示された」と結論。ただし「今回の結果は迅速な情報提供を目的とした暫定的な解析。英国の報告では3回目接種から一定期間経過すると有効性が減弱する可能性が示唆されており、今後も解析を継続し、経時的に評価していくことが重要」と付言している。

(安部重範)