妊娠中の母親が予防ワクチンを接種すると、抗体が胎盤を経由して児に移行し、出生後初期における児の感染リスクを下げることが知られている。最近の研究で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンでもこうした移行抗体が生じる可能性が示唆されていたが、疫学上のエビデンスはなかった。米・Vanderbilt University Medical CenterのNatasha B. Halasa氏らは、米国の小児病院で症例対照研究を実施。mRNAワクチンを妊娠中に2回接種した母親から生まれた生後6カ月未満児では、未接種の母親から生まれた児と比べ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院が61%抑制されたと報告した(MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2022; 71: 264-270)。

ワクチンの有効性は妊娠初期32%、後期80%

 Halasa氏らは、米国でデルタ株およびオミクロン株が主流となった2021年7月1日〜22年1月17日に、小児病院20施設で症例対照研究を実施。出生以外の理由で入院中の生後6カ月未満児379例をSARS-CoV-2陽性群(176例、症例群)と陰性群(203例、対照群)に分け、母親の妊娠中のmRNAワクチン(ファイザー製あるいはモデルナ製)2回接種による児のCOVID-19関連入院抑制効果を比較検討した。児の平均月齢は2カ月で、21%が少なくとも1つの基礎疾患を有し、22%が早産(妊娠37週未満)による出生だった。

 妊娠中にワクチン2回接種を完了した母親は、症例群が16%、対照群が32%で、生後6カ月未満児のCOVID-19による入院に対するワクチンの有効性は61%(95%CI 31〜78%)だった。また、母親が2回接種を完了した時期で層別化したところ、ワクチンの有効性は妊娠初期(20週以前)が32%(95%CI −43〜68%)、妊娠後期(21週~出産14日前)が80%(95%CI 55~91%)だった。

重症例の母親はいずれも未接種

 症例群176例中43例が集中治療室(ICU)での治療を必要としたが、そのうち88%(38例)の母親はワクチン未接種だった。症例群で体外式膜型人工肺(ECMO)を要した1例および死亡した1例の母親もワクチン未接種だった。

 以上の結果について、同氏らは「妊娠中のmRNAワクチン2回接種は、生後6カ月未満児におけるCOVID-19関連入院リスクの低減と関連しており、特に妊娠後期の接種で有効性が高かった」と指摘。「今後は、より効果的なワクチン接種のタイミングについて、妊娠中と妊娠前で比較する必要がある」と付言している。

(平山茂樹)