新型コロナウイルスによる臨時休校などで保護者が仕事を休むのを支援する国の助成金制度を利用できないケースが相次いでいる。「休まれると困る」などの理由から勤務先企業が活用を拒むためだ。厚生労働省は、保護者が助成金を申請する際の手続きを簡略化したが、勤務先の協力は必要なままだ。このためさらなる見直しを求める声が出ている。
 この制度は「小学校休業等対応助成金」。小学校や保育所などに通う子どもがコロナに感染したり、臨時の休校や休園になったりして仕事を休んだ保護者の勤務先が本来、助成の対象だ。通常の年次有給休暇とは別の有給の休暇を取得させた企業に対して、休んだ日数の賃金相当額を支給する。
 1人当たり日額1万5000円を上限に企業が労働局に申請するが、申請自体を拒むケースもある。厚労省によると、昨年9~11月末にかけて、各都道府県の労働局が企業に制度利用を呼びかけた1010件のうち1割弱が応じなかった。厚労省の担当者は「休んでいない他の従業員との不公平感が生じてしまうことや人手不足といった声が聞かれる」と話す。
 労働局が勤務先に助成金活用や有給の休暇付与を働きかけても、応じない場合、保護者が直接、支給申請することは可能だ。休業手当を受け取れない労働者を支援するコロナ対応の別の休業支援金の枠組みを利用し、支給を受ける。
 ただ子どもの世話のために休んだことを企業側が認めない限り、保護者個人での申請もできず「使いにくい」との苦情も出ていた。これを受け、厚労省は休業した事実の確認ができていない段階でも、保護者から国に申請できるよう手続きを見直した。
 それでも申請後に労働局が休業した日数などを勤務先から確認するには、勤務先が臨時休校などに伴う休業を容認していることが大前提。厚労省は「不正受給を防ぐため」と説明するが、東京法律事務所の長谷川悠美弁護士は「勤務先との関係悪化を懸念し、申請をためらう保護者は多いのではないか」と懸念する。
 長谷川氏は、「臨時休校の案内など保護者が提出する資料での証明も認めるべきだ」などと保護者が希望に応じて休暇を取得できる環境整備の必要性を指摘している。 (C)時事通信社