新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のファイザー製ワクチンを3回接種した者に比べ、3回目だけモデルナ製ワクチンに変えて交互接種した者では、接種28日後の平均抗体価の上昇率が高いとする調査結果が、2月18日に開催された厚生労働省の専門部会で報告された。60歳以上の高齢者でも追加接種により、若年層とほぼ同等の抗体価が得られていることも分かった。一方、発熱(37.5℃以上)や頭痛といった副反応の発現頻度は、ファイザー製よりモデルナ製接種例で高く、男性に比べ女性で多かった。

3回目接種前後の抗体価の推移、副反応を調査

 今回報告されたのは、順天堂大学客員教授の伊藤澄信氏らの研究グループによる前向き観察研究。対象は、1、2回目にファイザー製ワクチンを接種し、2022年1月28日時点で3回目の追加接種を受けた医療従事者など3,599例(3回目ワクチンはファイザー製が2,826例、モデルナ製が773例)。3回目接種前後の抗体価の推移や接種4週後までに生じた副反応などを調べ、中間報告としてまとめた。

 まず、ワクチン接種前後における抗体価の推移について、3回目もファイザー製を接種した396例(男性178例、女性219例)および3回目にモデルナ製を接種した233例(同94例、同139例)を対象に検討した。

 解析の結果、3回目接種前の平均抗体価は、ファイザー製接種群では374U/mL(95%CI 342~408U/mL)、モデルナ製接種群では444U/mL(同395~500U/mL)とほとんど違いはなかった。一方、接種28日後には、それぞれ2万219U/mL(同1万8,890~2万1,642U/mL)、3万164U/mL(同2万7,553~3万3,023U/mL)で差が広がった。接種前に対する接種28日後の抗体価は、ファイザー製接種群の54.1倍に対し、モデルナ製接種群では67.9倍と高かった()。

表. 3回目接種前後における抗スパイク蛋白質抗体価の推移

〔「新型コロナワクチン追加接種(3回目接種)にかかわる免疫持続性および安全性調査」を基に編集部作成〕

 なお、年齢別に3回目接種後の抗体価の推移を見ると、60歳以上の高齢者では接種前の抗体価は他の年代に比べ低かったが、接種後の抗体価上昇率はファイザー製が107.3倍、モデルナ製が133倍といずれも100倍以上を示した。高齢者でもワクチンの追加接種により、28日後には他の年齢層とほぼ同等の抗体価を獲得していたことも分かった。

発熱は接種1日目に多く、3日目にほぼ消失

 一方、3回目接種後の副反応については、37℃以上の発熱がファイザー製接種群の39.8%、モデルナ製接種群の68.0%で見られた。38℃以上の発熱は、それぞれ21.4%、49.2%とモデルナ製接種群で頻度が高かった。発熱の発現頻度は、接種1日後が最も高く、接種3日後にはほぼ消失していた。

 37.5℃以上の発熱が生じた例を年齢別に見ると、両ワクチンとも20歳代が最も多く、ファイザー製接種群が53.0%、モデルナ製接種群が81.6%。年齢が上昇するにつれ頻度は低下し、60歳以上ではそれぞれ16.7%、46.7%だった。男女別では、ファイザー製接種群は男性が35.3%、女性が41.9%、モデルナ製接種群はそれぞれ67.7%、68.1%と女性でやや多かった。

 頭痛の発作頻度は、ファイザー製接種群で55.0%、モデルナ製接種群で69.6%。年齢別で最も高頻度に生じていたのは、前者では30歳代の61.6%、後者では40歳代の78.0%だったが20歳代でも71.4%と高頻度に出現していた。一方、60歳以上の高齢者では、それぞれ35.6%、50.0%と他の年代に比べ低かった。男女別では、ファイザー製接種群は男性が40.8%、女性が61.5%、モデルナ製接種群は同62.7%、73.5%といずれも女性に高頻度で見られた。

 疼痛は両群の9割以上(ファイザー製接種群91.6%、モデルナ製接種群93.8%)に生じており、腋窩痛、リンパ節痛(リンパ節腫脹)、リンパ節痛の頻度は、ワクチン2回接種後に比べ3回目接種後で頻度が高かった。全身倦怠感の発現頻度は、それぞれ69.1%、78.0%だった。

ファイザー製接種群の約9%、モデルナ製接種群の約10%が病休取得

 3回目のワクチン接種後、接種翌日を中心にファイザー製接種群では8.83%、モデルナ製接種群では10.30%が病気休暇を取得していたが、大きな差はなかった。病休取得例のほとんどで日数は2日以内だった。

 副反応に対する治療薬として、ワクチン3回目接種から8日目までに、ファイザー製接種群の9.6%がアセトアミノフェン、3.6%がロキソプロフェンを使用しており、モデルナ製接種群ではそれぞれ9.4%、2.8%だった。

(小沼紀子)