英国で新規にGLP-1受容体作動薬(GLP-1 RA)の処方を受けた約580例の2型糖尿病患者を対象に、同薬の体重減量効果やアドヒアランス、治療中断率に関する実態調査をMerck & Co社のTracey Weiss氏らが実施。「5%以上の減量」を達成した患者の割合は、治療開始から12カ月時点では3人に1人、24カ月時点でも半数に満たず、臨床試験成績には及ばなかったとBMJ Open Diabetes Res Care2022 Jan; 10: e00251)に報告した。調査では、治療開始から24カ月以内に6割超が治療中断に至ったことも明らかになった。

後ろ向きコホート研究を実施

 GLP-1 RAの臨床試験では同薬の高い減量効果が報告されているが、実臨床での効果は明らかになっていない。また、GLP-1 RA注射剤での長期にわたるアドヒアランスや治療中断の実態も十分に把握されていない。そこで、Weiss氏らは、約1,300万人のプライマリケア患者の診療記録を擁する英国の大規模なコホートClinical Practice Research Datalink(CPRD)のデータを用いて、新規にGLP-1 RAを処方された18歳以上の2型糖尿病患者589例(平均年齢53歳、女性56.4%、平均BMI 41.7kg/m2)を対象に後ろ向きコホート研究を実施した。

 同氏らは、2009年1月~2017年12月に、処方開始日(12カ月間のベースライン期間後に、GLP-1 RA単剤またはメトホルミンとの併用療法として新規に処方された日と定義)から12カ月時点および24カ月時点の体重変化、アドヒアランス、治療中断の割合を評価した。ベースラインから5%以上の体重減少を「臨床的に意味のある減量」と定義。観察期間に対する同薬処方日数の割合(proportion of days covered;PDC)が80%以上をアドヒアランス良好、処方空白期間が90日以上を治療中断と定義した。

1年後の5%以上の減量達成率は3割超、服薬遵守率は6割超に

 解析の結果、体重を測定しえた患者(処方開始から12カ月後は341例、24カ月後は232例)のうち、治療開始から12カ月および24カ月の時点で5%以上の減量を達成した割合はそれぞれ33.4%、43.5%だった。減量幅が5%未満の割合はそれぞれ37.5%、24.1%であり、逆に体重が増加した割合はそれぞれ29.0%、32.3%だった。

 また、GLP-1 RAの服薬遵守率を調べたところ、治療開始から12カ月時点では64.5%だったが、24カ月の時点では59.2%に低下していた。アドヒアランス良好な患者の割合に男女差や年齢層による差は見られなかった。BMI 30kg/m2未満であると治療開始から12カ月時点のアドヒアランス低下と関連したが、24カ月時点ではアドヒアランスとBMIとの間に関連は見られなかった。

2年後の治療継続率は35%にすぎず

 さらに、治療開始から12カ月以内に45.2%が、24カ月以内では64.7%が治療を中断していた。治療中断率に男女差や年齢層による差は見られなかった。BMIが30~34kg/m2の患者は12カ月後には治療中断する確率が高かったが(多変量モデルによるオッズ比1.8、95%CI 1.05~3.19)、24カ月時点では、治療中断とBMIとの間に関連は認められなかった。なお、治療開始から治療中断までの期間の中央値は426日だった。

 以上の結果から、Weiss氏らは「実臨床の2型糖尿病患者では、GLP-1 RAの臨床試験で実証されたほどの減量効果は得られていない可能性がある。また、処方を受けた患者の約半数は治療開始から24カ月時点で服薬を遵守していた一方で、患者の約半数は1年以内に、約6割は2年以内に治療を中断していた」と結論。「GLP-1 RAの服薬アドヒアランスを長期にわたり向上させるためにも、さらなる患者支援が必要になるだろう」と述べている。

(小谷明美)