これまで、肺がんや中皮腫などの胸部がん患者では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡率が高いことが報告されている。米・Vanderbilt University Medical CenterのJennifer G. Whisenant氏らは、COVID-19と診断された胸部がん患者の登録研究Thoracic Cancers International COVID-19 Collaboration(TERAVOLT)のデータを用い胸部がん患者のCOVID-19による死亡に関連する因子について検討。主要な規定因子として全身状態(ECOG-PS)、好中球数、血清プロカルシトニン、COVID-19診断時のがん・病期、肺炎の発症、C反応性蛋白(CRP)、年齢の7つの因子を同定したとJ Thorac Oncol2022年1月24日オンライン版)に報告した。

19カ国89施設で登録された約1,500例を解析

 TERAVOLTは、胸部がん患者にCOVID-19が及ぼす影響を明らかにするために2020年3月に開始された。これまでの解析から、胸部がん患者ではCOVID-19による死亡率が22~41%と高いことが明らかになっている。Whisenant氏らは今回、同研究のデータを用いてCOVID-19に罹患した胸部がん患者の予後予測因子について検討した。  

 解析対象は、2020年3月~21年4月に19カ国89施設で登録された胸部がん〔非小細胞肺がん(NSCLC)、小細胞肺がん(SCLC)、中皮腫、胸腺上皮性腫瘍、その他の肺由来の神経内分泌腫瘍〕を有し、COVID-19と診断された患者1,491例。男性は57.3%、年齢の中央値は67歳、併存疾患を1つ以上有する割合は82.3%、BMIの中央値は25(範囲11~87)で、がん種の内訳はNSCLCが79.7%と最も多く、SCLCは12.4%、残る胸部がんは7.9%だった。平均42日の追跡期間における全死亡率は24.2%だった。

最も強く関連する因子はPS不良  

 クラスター分析により17のクラスターに分類した73の変数についてfast-backward step-down selection法を用いて検討した。その結果、死亡の主要な規定因子として①ECOG-PS〔オッズ比(OR)2.47、95%CI 1.87~3.26〕、②好中球数(同2.46、1.76~3.44)、③血清プロカルシトニン(同2.37、1.64~3.43)、④COVID-19診断時のがん・病期(同1.97、1.46~2.66)、⑤肺炎の発症(同1.95、1.48~2.58)、⑥CRP(同1.90、1.43~2.51)、⑦年齢(同1.71、1.29~2.26)―の7つの因子が同定された。中でもECOG-PS不良はCOVID-19と診断された胸部がん患者の予後不良に最も強く関連していた。  

 Whisenant氏らは「ワクチン接種の啓発活動や医療体制の拡充といった対策は講じられているが、新型コロナウイルスは今後もがん患者の治療継続に影響を及ぼし続ける可能性が高い」と指摘した上で、そのような状況に対抗するツールとして今回の研究で得られた知見に基づく予測システムの活用に期待を示している。

(岬りり子)