新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への有効性について議論が続いている抗寄生虫薬イベルメクチンに、新たなランダム化比較試験(RCT)の結果が示された。マレーシア・Raja Permaisuri Bainun HospitalのSteven Chee Loon Lim氏らはJAMA Intern Med2022年2月18日オンライン版)で、高リスクのCOVID-19患者を対象にイベルメクチンの有効性を検討したところ、同薬に重症化を防ぐ効果は認められなかったと報告した。(関連記事:「イベルメクチン使用の有害事象を報告」

高リスクのコロナ患者490例で検証

 COVID-19に対するイベルメクチンの有効性はいまだRCTで示されていないが、安価で入手が容易であることなどから、経口のCOVID-19治療薬の1つとして適応外使用される場合がある。そこでLim氏らは、イベルメクチンのCOVID-19重症化抑止効果を検証する目的で多施設非盲検RCTを行った。

 対象は、2021年5月31日〜10月25日にマレーシアの公立病院20施設とCOVID-19免疫センターで登録された、発症後1週以内で併存疾患および軽〜中等症の疾患を有する50歳以上のCOVID-19患者490例。標準治療にイベルメクチン(1日0.4mg/kgを5日間投与)を上乗せする群(イベルメクチン群)と標準治療群に1:1でランダムに割り付けた。

 主要評価項目はCOVID-19の重症化率、副次評価項目は人工呼吸の導入率、集中治療室(ICU)への入室率、28日以内の院内死亡率、有害事象発生率などとした。重症化は、パルスオキシメータでの酸素飽和度(SpO2)95%以上を維持するため酸素補給を必要とする低酸素状態と定義した〔世界保健機関(WHO)臨床進行スケール5〜9に該当〕。

副次評価項目も有意差なし

 検討の結果、重症化率はイベルメクチン群が21.6%(52/241例)、標準治療群が17.3%(43/249例)だった(相対リスク1.25、95%CI 0.87~1.80、P=0.25) 。副次評価項目については、人工呼吸導入率がイベルメクチン群は1.7%、標準治療群は4.0%(同0.41、0.13〜1.30、P=0.17)、ICU入室率はそれぞれ2.5%、3.2%(同0.78、0.27〜2.20、P=0.79)、28日以内の院内死亡率が1.2%、4.0%(同0.31、0.09〜1.11、P=0.09)といずれもイベルメクチン群で低かったが、有意差は認められなかった。最も多かった有害事象として、下痢がイベルメクチン群で5.8%、標準治療群で1.6%報告された。

 この結果について、Lim氏らは「COVID-19の高リスク患者に対するイベルメクチンの早期投与は、COVID-19重症化を抑制しなかった」と結論。「COVID-19患者に対するイベルメクチン投与は支持されない」と指摘している。

(平山茂樹)