米国の高齢女性約5万8,000人を対象とした大規模コホート研究の結果から、社会的孤立と孤独感は心血管疾患(CVD)リスクの上昇に関連することが明らかとなった。同研究では、社会的孤立と孤独感のスコアがいずれも高い女性では、低い女性と比べてCVDを発症するリスクが13.0~27.0%高いことが示された。米・University of California, San DiegoのNatalie M. Golaszewski氏らがJAMA Netw Open2022; 5: e2146461)に報告した。

5万7,825人を解析

 高齢者の社会的孤立や孤独感はCVDリスクを高めることが先行研究で示されている。また、女性は男性と比べて社会的孤立を経験しやすいこと、孤独感を感じている人では冠動脈性心疾患(CHD)リスクの上昇度が高いことを示した報告もある。

 Golaszewski氏らは今回、2010年にWomen's Health Initiative (WHI)の継続研究(WHI Extension Study II)に登録された65~99歳の閉経後女性を対象に、社会的孤立および孤独感とCVDリスクの関連、これらの関連に社会的サポートの有無が及ぼす影響について検討した。

 同研究は2011年3月~19年3月に実施された。2011~12年に社会的孤立に関する質問票を8万1,487人に送付。7万3,709人(90.5%)から回答を得た。2014~15年には孤独感と社会的サポートに関する質問票を送付し、6万1,161人(75.1%)から両項目に関する回答を得た。そのうち心筋梗塞、脳卒中、CHDの既往歴がある者を除外した5万7,825人(平均年齢79.0歳、白人89.1%)を2019年3月31日または主要心血管イベントの初発まで追跡した。

 社会的孤立は婚姻状況、同居者の有無、家族や友人とのコミュニケーションの頻度、社会的活動の状況などに基づきスコア化した。孤独感は3項目のUCLA孤独感尺度(3-item UCLA Loneliness Scale)を、社会的サポートは19項目のMedical Outcomes Study Social Support Surveyから9項目を用いて評価した。

社会的サポートの影響は認められず

 18万6,762人・年の追跡期間中に主要心血管イベントが1,599人で発生した。解析の結果、年齢、人種および民族、教育レベル、抑うつを調整後のCVDリスクは、社会的孤立のスコアが低い群と比べて高い群で18%高く〔ハザード比(HR)1.18、95%CI 1.13~1.23〕、孤独感のスコアが低い群と比べて高い群で14%高かった(同1.14、1.10~1.18)。また、健康に関わる行動(喫煙、飲酒、身体活動)、健康状態に関わる因子(糖尿病の既往、降圧薬の使用など)を調整後のCVDリスクは、社会的孤立のスコアが低い群と比べて高い群で8%高く(HR 1.08、95%CI 1.03~1.12)、孤独感のスコアが低い群と比べて高い群で5%高かった(同1.05、95%CI1.01~1.09)。

 さらに、社会的孤立と孤独感の両スコアが高い女性では、いずれも低い女性と比べてCVDを発症するリスクが13.0~27.0%高かった。一方、社会的サポートはこれらの関連の有意な効果修飾因子ではないことも確認された。

 Golaszewski氏らは「高齢女性の社会的孤立と孤独感はCVDリスクの上昇に関連しており、さらなる研究で社会的孤立と孤独感の低減につながるさまざまな介入法の有効性を評価する必要性が示された。また、今後は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行拡大に伴うコミュニケーション不全も考慮する必要がある」と述べている。

(岬りり子)