新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院例は多く報告されているが、これら入院例の退院後の予後についての報告は少ない。イタリア・D'Annunzio University of Chieti-PescaraのGiulia Renda氏らは、COVID-19で入院した患者の退院後の予後について調査した結果をJ Clin Med(2022; 11: 729)に報告した。

主要評価項目は全死亡およびMACCE  

 今回の対象は、イタリアの2施設において2020年2月20日~5月12日にCOVID-19により入院し、その後退院した18歳以上の連続患者296例。全例で逆転写PCR法を用いてCOVID-19発症を確認し、退院後6カ月間にわたり前向きに観察した。フォローアップの評価は電話で行うか、受診時に行った。  

 主要評価項目は、6カ月時の全死亡率、および追跡期間中の①心血管死、②心筋梗塞、③脳卒中、④肺塞栓症、⑤急性心不全、⑥心血管イベントによる入院-で構成する主要脳心血管イベント(MACCE)の複合とした。  

 対象の主な患者背景は、平均年齢が64歳、男性が58%で、男性と比べて女性では喫煙者(P=0.021)、慢性腎臓病(P=0.032)、心房細動(P=0.01)、認知機能障害(P=0.003)が有意に多かった。全例でフォローアップデータが得られ、平均追跡期間は6カ月だった。

全死亡率は4.7%、高齢が危険因子に  

 解析の結果、主要評価項目の1つである6カ月時の全死亡率は4.7%(14例)だった。生存例(全体の95.3%に該当)と比べ、死亡例では高齢(64歳 vs. 77歳、P=0.002)、末梢動脈疾患(9% vs. 29%、P=0.042)、心房細動(5% vs. 21%、P=0.045)の既往が多く、入院中に急性心不全(6% vs. 29%、P=0.001)、虚血性脳卒中(0% vs. 7%、P=0.047)を多く発症し、好中球/リンパ球比(4.1 vs. 10.7、P<0.001)が高値で、推算糸球体濾過量(82mL/分/1.73m2 vs. 58mL/分/1.73m2、P=0.025)が低値、左脚ブロック(5% vs. 28%、P<0.007)が多く認められ、β遮断薬(26% vs. 71%、P<0.001)や利尿薬(経口:20% vs. 50%、P=0.008、静注:7% vs. 29%、P=0.019)、経口抗凝固薬(5% vs. 21%、P=0.039)の使用率が高かった。入院期間に有意差は認められなかった。  

 全死亡の有意な危険因子として、単変量解析では、高齢〔18~62歳、63~76歳、77~100歳の三分位、ハザード比(HR)1.083、95%CI 1.03~1.139、P=0.002〕、入院中の急性心不全(同5.414、1.399~20.948、P=0.014)、QRS幅(同1.031、1.011~1.052、P=0.002)、院内でのβ遮断薬使用(同8.489、2.174~33.152、P=0.002)が、調整後の多変量解析では年齢(同1.08、1.01~1.16、P=0.031)のみが抽出された。

MACCEは7.2%に発生、女性などが危険因子に  

 もう1つの主要評価項目のMACCEは7.2%に発生した。非MACCE発生例と比べ、MACCE発生例は高齢(63歳 vs. 75歳、P=0.002)、末梢動脈疾患(10% vs. 28%、P=0.019)、心房細動(5% vs. 19%、P=0.030)、慢性閉塞性肺疾患(9% vs. 24%、P=0.048)、慢性腎臓病(11% vs. 38%、P=0.002)の既往が多く、入院中の深部静脈血栓症(1% vs. 10%、P=0.042)の発症率が高く、好中球/リンパ球比(4 vs. 7.8、P=0.017)、PaCO2(35mmHg vs. 38mmHg、P=0.045)が高値で、β遮断薬(25% vs. 48%、P=0.038)、経口利尿薬(20% vs. 43%、P=0.026)、経口抗凝固薬(6% vs. 33%、P<0.001)の使用率が高かった。  

 MACCEの有意なリスク因子として、単変量解析では高齢(HR 1.049、95%CI 1.016~1.082、P=0.003)、心房細動(同6.077、2.555~14.452、P<0.001)、入院中の急性心不全(同4.39、1.604~12.012、P=0.004)が、調整後の多変量解析では心房細動(同3.049、1.128~8.24、P=0.028)、入院中の急性心不全(同3.454、1.193~9.999、P=0.022)に加え、女性(同2.612、1.047~6.518、P=0.040)が抽出された。  

 以上を踏まえ、Renda氏は「今回の結果は、COVID-19で入院した患者における退院後のイベント高リスク例を同定するのに役立つ可能性があり、今回抽出された因子を有するCOVID-19入院患者に対しては、退院後に入念な経過観察を行うことが望ましい」と述べている。

編集部