乳がんの家族歴がある閉経前女性は、そうでない女性と比べて乳腺濃度が有意に高く、高濃度乳房(デンスブレスト)が検出されるリスクは30%有意に高いとする後ろ向きコホート研究の結果を、米・Washington University School of MedicineのYunan Han氏らがJAMA Netw Open2022; 5 : e2148983)に発表した。1万5,000例弱の閉経前女性を後ろ向きに解析したもので、乳がん家族歴と乳腺濃度の関連は、マンモグラフィの評価法(定量または定性)にかかわらず一貫して見られたという。

不均一高濃度および極めて高濃度を「高濃度乳房」と定義

 乳がんの家族歴とマンモグラフィ画像上の乳腺濃度は、いずれも乳がんの独立した危険因子であることが知られている。しかし、閉経前女性とこれらの因子との関連は明らかでない。Han氏らは今回、閉経前女性における乳がん家族歴と乳腺濃度との関連を明らかにするため、1万4,415例を対象に2種類(定量または定性評価)のマンモグラフィで乳腺濃度を評価し、解析する単施設後ろ向きコホート研究を実施した。

 まず探索セット(discovery set)として、2016年に乳がんの検診目的でマンモグラフィ検査を受けた閉経前女性375例を対象に、三次元乳腺密度評価ソフトウェア(Volpara)を用いて乳腺密度を定量的に評価した。次に検証セット(validation set)として、2010年6月~15年12月に検診および診断目的でマンモグラフィ検査を受けた閉経前女性1万4,040例を対象に、乳腺密度自動解析ソフトウェア(BI-RADS)を用いて乳腺濃度の定性評価を行った。対象を、①脂肪性、②乳腺散在、③不均一高濃度、④極めて高濃度ーに4分類し、③および④を「高濃度乳房」と定義した。それぞれのセットで第一度近親者(実母、姉妹)の乳がん家族歴と乳腺濃度との関連を調べた。

近親者に乳がん罹患者が1人いると乳腺濃度は24%上昇

 両セットの背景に差は見られなかった。乳がん家族歴は探索セット375例中87例(23.2%)、検証セット1万4,040例中2,153例(15.3%)が有していた。

 探索セットの分析から、乳がん家族歴がない女性と比べて、ある女性では乳腺濃度の平均値が高い傾向が見られた(11.1% vs. 9.0%)。多変量調整モデルでは、乳がん家族歴がない女性に対し、ある女性では乳腺濃度が25%有意に高かった〔オッズ比(OR)1.25、95%CI 1.12~1.41、P<0.001〕。また、第一度近親者の乳がん罹患者の人数別に見ると、近親者に罹患者がいない女性に対し、1人いる女性では乳腺濃度が24%有意に高かったが(OR 1.24、95%CI 1.10~1.40、P<0.001)、2人以上いる女性では有意な差はなかった(OR 1.40、95%CI 0.95~2.07、P=0.09)。

 次に検証セットの分析から、乳がん家族歴がない女性と比べ、ある女性では高濃度乳房が検出される割合が高く(不均一高濃度:41.1% vs. 38.8%、極めて高濃度:10.5% vs. 7.7%)、高濃度乳房であるリスクが有意に30%高かった(OR 1.30、95%CI 1.17~1.45、P<0.001)。さらに、第一度近親者の乳がん罹患者が1人の女性では、高濃度乳腺のリスクが有意に29%高かったが(OR 1.29、1.14~1.45、P<0.001)、2人以上の女性では有意差はなかった(OR 1.38、0.85~2.23)。

家族歴がある女性は閉経前から定期検診を開始すべき

 以上の結果から、Han氏らは「乳がん家族歴がある閉経前の女性は乳腺濃度が高く、高濃度乳房が検出される確率も高い可能性がある」と結論。その上で、「今回の知見は、乳腺濃度は遺伝的要素が強く関連していることを裏付けるものであり、乳がんの家族歴を有する女性では、閉経を迎える前から年1回のマンモグラフィ検診を開始する必要性を強調するものだ」と述べている。

(小谷明美)