【ワシントン時事】ロシアによるウクライナ軍事侵攻が、世界経済の先行きに大きな影を落としている。両国とも原油や小麦などのコモディティー(商品)の有力輸出国だけに、供給不安から関連相場が高騰。各国を悩ますインフレを加速させ、新型コロナウイルス危機からの回復を阻害する恐れが浮上している。
 「世界に重大な経済リスクをもたらす」。国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は24日、ウクライナ情勢が世界経済に及ぼす影響に懸念をあらわにした。
 ロシアは世界屈指のエネルギー輸出国。また国連食糧農業機関(FAO)によると、2020年の小麦輸出でロシアは世界1位、ウクライナは5位。紛争による供給混乱への懸念から、米国産標準油種WTI先物は一時、14年以来となる1バレル=100ドル台に急騰。シカゴ市場で取引される小麦先物も、12年以来の高値となった。
 コロナ感染拡大に関連した供給制約により、ただでさえ世界各地でインフレが進んでいる。燃料や食料が一段と値上がりすれば、特にワクチン接種の遅れなどでコロナ禍の打撃が深刻だった開発途上国にとって、さらに重しとなるのは必至だ。
 IMFは「新興国や低所得国の住民にとって、食料は消費支出の3分の1から半分を占め、価格上昇の負担は最も重い」と分析する。
 苦境は途上国に限らない。ユーロ圏のインフレ率は1月に過去最高の5.1%を記録したが、物価高の主たる要因はエネルギー価格の高騰だ。欧州は天然ガス輸入の相当部分をロシアに依存しており、対ロ経済制裁に関連して供給が混乱すれば、エネルギー価格をさらに押し上げかねない。
 欧州中央銀行(ECB)はエネルギー価格などを除いた物価は安定しているとして利上げには慎重だが、インフレがさらに加速すれば、対応に苦慮しそうだ。シュナーベルECB専任理事は24日の会合で「戦争ショックは世界の中銀が直面する課題を増大させる」と警戒した。 (C)時事通信社