新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を背景に小児のスマートフォンなどの視聴時間(スクリーンタイム)は大幅に延長し、健康への影響が懸念されている。こうした中、山梨大学大学院会社会医学講座の久島萌氏らは、男児において1歳時の長時間のスクリーンタイムが3歳までの自閉症スペクトラム障害(ASD)診断に有意に関連していたとする、日本の母子8万4,030組の解析結果をJAMA Pediatr2022年1月31日オンライン版)に発表した。なお、女児では同様の関連は認められなかった。

エコチル調査のデータを解析

 ASDには遺伝要因などの先天的要因の他、環境要因も関連することが明らかにされている。このうち環境要因に関しては、スクリーンタイムの長さがASDの特性やASDに特徴的な脳の形態に関与している可能性が示唆されている。

 日本でASDが診断される頻度が最も高い年齢は3歳である。一方、スクリーンタイムと乳幼児期のASDとの関連について検討した大規模コホート研究はほとんど実施されていない。しかし、COVID-19の世界的流行を背景に、各国で小児のスクリーンタイムが延長しており、小児の健康に及ぼす影響を明らかにすることは公衆衛生における重要な課題だといえる。

 そこで久島氏らは今回、「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」のデータを用い、1歳時のスクリーンタイムと3歳時のASD発症との関連について検討した。

 解析対象は、2011年1月~14年3月に日本国内の15地域で登録した母子約10万組のうち、死産、流産例および1歳の時点で子供に脳性麻痺、先天性疾患のある例、データ欠測例などを除外した8万4,030組。このうち小児330人(0.4%)が3歳までにASDと診断されていた。男女比は男児76.0%、女児24.0%であった。

2~4時間の視聴でオッズ比3.48

 ロジスティック回帰分析の結果、男児では1歳時にテレビなどの画面を全く見ていなかった群に対する3歳までのASD診断のオッズ比(OR)は、1歳時のスクリーンタイムが1時間未満群で1.38(95%CI 0.71~2.69、P=0.35)、1時間以上2時間未満群で2.16(同1.13~4.14、P=0.02)、2時間以上4時間未満群で3.48(同1.83~6.65、P<0.001)、4時間以上群で3.02(同1.44~6.34、P=0.04)だった。

 一方、女児ではスクリーンタイムとASDに関連は認められなかった。

 以上の結果に基づき、久島氏らは「男児において、1歳時点でのスクリーンタイムが長いことは3歳時のASDに有意に関連していた。電子機器の使用が急速に広がりつつあることから、スクリーンタイムが乳幼児の健康に及ぼす影響について再検討し、過度のスクリーンタイムを抑える必要がある」と述べている。

(岬りり子)

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