【北京時事】中国政府は今年の経済成長率目標を「5.5%前後」に設定すると表明した。今秋の共産党大会で習近平総書記(国家主席)の3期目入りが確実視される中、安定重視の経済政策を打ち出し、景気の下支えに全力を挙げる。ただ、新型コロナウイルス禍や住宅市場の冷え込みが重しとなっている上、ロシアのウクライナ侵攻に伴うサプライチェーン(供給網)混乱の懸念もくすぶっており、難しいかじ取りを迫られている。
 李克強首相は5日の政府活動報告で「今年はあくまで安定を最優先する」と言明。経済のけん引役である内需のてこ入れに向け、電気自動車(EV)の販売や農村部での家電の買い替えを促すほか、金融緩和や大規模な減税・還付を通じた中小企業の資金繰り支援を続ける方針を示した。
 ただ、成長率目標の達成には「かなりの困難を伴う」(エコノミスト)との見方が強い。2021年の成長率は8.1%だったが、これはコロナ禍で落ち込んだ20年の反動の側面が強く、2年間の平均は年5.1%にとどまる。直近の21年10~12月期は4.0%まで減速しており、5.5%前後を実現するには急加速が不可欠だ。
 ただ、頼りの内需は、新型コロナの感染を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策の影響で力強さに欠ける。党大会までは厳しい措置が続くとみられ、本格的な回復には時間がかかるもよう。成長を押し上げてきた輸出にも陰りが見える。
 住宅市場も引き続き下押し要因となりそうだ。李首相は「不動産市場の健全な発展を促す」と強調、住宅ローン金利の引き下げなどを進めるが、中国恒大集団の経営危機も影を落とし、先行きは楽観できない。 (C)時事通信社