【ソウル時事】韓国大統領選が9日に迫った。革新系与党「共に民主党」の李在明前京畿道知事と保守系最大野党「国民の力」の尹錫悦前検事総長の激戦だが、尹氏と保守中道野党「国民の党」の安哲秀代表の一本化が実現したこともあり、李氏が劣勢とみられている。約2年にわたる新型コロナウイルス禍で国民は疲弊。政権・与党の「ウィズコロナ」の思惑は外れ、新規感染者が20万人以上という感染爆発の中で投票日を迎える。
 「もともと与党は『ウィズコロナ』に移行すれば勝てると踏んでいた」。ある与党関係者は、日常生活の回復を政権・与党の実績としてアピールし、選挙を有利に運ぶ思惑があったと打ち明ける。コロナの初期対応が奏功し、与党が圧勝した2020年4月の総選挙の成功体験があるためだ。
 文在寅政権は、大量のPCR検査を軸とする防疫対策で初期には感染拡大を抑制。政権は「K防疫」と名付け、実績を誇った。日常回復を急ぐ政府は昨年11月、いったん「ウィズコロナ」にかじを切ったものの、裏目に出て1カ月半で断念。さらにオミクロン株の拡散で目算は狂い、今月4日には新規感染者が26万人を超えた。
 それでも政府は今月に入り、飲食店などのワクチンパスポート制度の中止、営業時間制限の緩和に踏み切った。7日、釜山で演説した李氏は、政府の動きと歩調を合わせ「防疫政策も進化しなければならない。営業制限を全部解除し、日常の経済活動を可能にする」と訴えた。
 だが、与党関係者は「2年たち、国民の疲労と自営業者の被害が蓄積している。総選挙の再現は容易ではない」と厳しい表情だ。
 尹氏は「コロナにかかっても家で死のうが治療しようが好きにしろ、という対応だ」「無力な庶民と自営業者ばかりに犠牲を強いている」と連日政府を批判している。尹氏陣営関係者は「与党はもはや『K防疫』を口に出せなくなった。流れはこちらに向いている」と語った。 (C)時事通信社