喫煙者では関節リウマチ(RA)の発症リスクが高まることが知られるが、受動喫煙との関連を検証したデータは少ない。フランス・Université Paris-Saclayの研究グループは、喫煙および受動喫煙歴が女性のRAに及ぼす影響を検証したFrench E3N研究の結果をRMD Open(2022; 8: e001980)に発表。幼少期の受動喫煙でも女性のRAの発症リスク上昇と有意に関連していたと報告した。

約8万人を24年間追跡

 同研究は、環境危険因子ががんや慢性疾患に及ぼす影響を検証する前向きコホート研究で、1990年から健康なフランスの女性9万8,995人を登録。登録者には、2~3年ごとに健康や生活習慣、新たに診断された疾患に関する質問に回答を依頼、平均回答率は83%を超えている。

 今回の対象は、質問票に回答しなかった者などを除外した7万9,806人。中央値で24.47年追跡した結果、698例がRAを発症した。RAの発症は、定期の質問票でRAの診断を申告した者に対し検証用の質問票を送付。検証用質問票でRAを確認し①医師による診断、②抗リウマチ薬服用の申告、③自己抗体陽性、④米国リウマチ学会の1987年関節リウマチ分類基準のうち4項目以上を満たす-のいずれかに該当した者と定義した。

 また受動喫煙については、「幼少期に1日数時間、喫煙者が喫煙している部屋で過ごしていた」と回答した者を幼少期に受動喫煙経験あり、「喫煙者が喫煙している部屋で1日1時間以上過ごす」と回答した者を成人以降に受動喫煙経験ありと定義した。

 RAのリスクは、Cox比例ハザード回帰モデルを用いた多変量解析で検証した。

幼少期に受動喫煙があれば喫煙経験の有無にかかわらずリスク増

 ベースライン時における対象の主な背景は、年齢中央値が幼少期に受動喫煙経験なし(6万8,996例)47.9歳/あり(1万810例)47.4歳、成人以降に受動喫煙経験なし(3万6,999例)49.3歳/あり(4万2,807例)46.9歳、BMI 18.5~25の割合が、それぞれ81.9%/80.9%、82.0%/81.6%、喫煙状況は現在喫煙中が14.1%/14.7%、6.1%/21.2%、喫煙経験なしが55.0%/48.6%、63.1%/46.4%、過去に喫煙経験ありが30.9%/36.7%、30.8%/32.4%だった。

 年齢、喫煙状況、受動喫煙の状況、BMIなどを調整して解析した。その結果、幼少期の受動喫煙の有無で見ると、受動喫煙経験なしに対する受動喫煙経験ありの関節リウマチ発症のハザード比(HR)は1.24(95%CI 1.01~1.51)と有意に高かった(P=0.037)。また、喫煙経験なし+受動喫煙経験なしに対する喫煙経験なし+受動喫煙経験ありのHRは1.38(95%CI 1.04~1.83)、喫煙経験あり+受動喫煙経験なしは同1.26(1.07~1.49)、喫煙経験あり+受動喫煙経験ありは同1.37(1.03~1.82)で、幼少期に受動喫煙経験があると、喫煙経験の有無にかかわらずRAのリスクが高かった。

喫煙経験+成人以降の受動喫煙ありでは46%のリスク増

 一方、成人以降の受動喫煙経験の有無で見ると、受動喫煙経験なしに対する受動喫煙経験ありのRAのHRは1.19(95%CI 1.02~1.40)と有意に高く(P=0.025)、喫煙経験なし+受動喫煙経験なしに対する喫煙経験なし+受動喫煙経験ありのHRは1.24(95%CI 1.00~1.53)、喫煙経験あり+受動喫煙経験なしは同1.26(1.00~1.59)、喫煙経験あり+受動喫煙経験ありは同1.46(1.20~1.79)と、喫煙および受動喫煙の両方の経験がある集団でRAのリスクは最も高かった。

 RA発症時の平均年齢について見ると、幼少期の受動喫煙の有無別では最も遅いのが喫煙経験なし+受動喫煙経験なしの65.1歳、最も早いのが喫煙経験あり+受動喫煙経験ありで60.6歳、成人以降の受動喫煙の有無別でも最も遅いのが喫煙経験なし+受動喫煙経験なしの66.3歳、最も早いのが喫煙経験あり+受動喫煙経験ありで62.4歳だった。

 以上の結果を踏まえ、研究グループは「幼少期および成人以降の受動喫煙は女性のRAの発症リスク上昇と有意に関連し、とりわけ喫煙歴のない集団では顕著だった。RA発症抑制には、受動喫煙を含めた喫煙機会を可能な限り減らすべき」と述べている。

(編集部)