デンマークでは、昨年(2021年)12月に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン株BA.1の別系統であるBA.2が検出されて以降、BA.1からの置き換えが急速に進んでいる。同国・University of CopenhagenのFrederik P. Lyngse氏らは、昨年12月下旬から今年1月上旬にオミクロン株に一次感染した世帯を対象に、BA.1とBA.2の家庭内(二次)感染パターンを調べ、両者の特徴を検討。BA.1に比べBA.2は感染リスクが有意に高く、免疫を逃避する性質も備えていることを、査読前論文公開サイトmedRxiv(2022年1月30日オンライン版)に発表した。(関連記事「オミ株BA.2の特徴をデータサイエンスで解明」)

二次感染はBA.1が29%、 BA.2が39%

 昨年11月24日にオミクロン株BA.1感染例が初めて報告されて以降、世界的に流行の主体となっている。しかしデンマークでは、12月5日にBA.1の別系統であるBA.2を検出。同国でゲノム解析結果が得られた検体に占めるBA.2の割合は、昨年第52週の20%に対し、今年第2週に45%、第5週には85%まで上昇した。

 Lyngse氏らはデンマークの全住民の登録データを用いて、昨年12月20日~今年1月11日にオミクロン株による一次感染例が発生した2〜6人の家族から成る8,541世帯について、全ゲノム解析の結果からBA.1またはBA.2感染世帯に分類。1月18日までの7日間の追跡期間中における二次感染パターンについて、両者を比較検討した。接種したSARS-CoV-2ワクチンは85%がファイザー製、14%がモデルナ製だった。

 一次感染がBA.2による感染だったのは2,122世帯、追跡期間中に二次感染が疑われたのは4,587例で、うち1,792例(39%)が陽性と判明した。 一方、BA.1感染は6,419世帯で、二次感染が疑われた1万3,358例中3,910例(29%)が陽性だった。なお、BA.1およびBA.2感染者の性、年齢、世帯規模、ワクチン接種状況はほぼ同様だった。

ワクチン接種でブレ―クスルー感染者からの伝播リスク低下

 まず、ワクチン接種状況別にBA.1とBA.2による一次および二次感染のリスクを検討。接種完了者に対する非接種者におけるBA.1による一次感染のオッズ比(OR)は1.23(95%CI 1.09~1.40)と有意に高かった。一方、BA.2では1.10(同0.92~1.32)と上昇傾向にあったが有意差はなかった。二次感染のORは、BA.1が0.93(95%CI 0.80~1.08)、BA.2が1.21(同0.97~1.50)と有意差が認められなかった。

 また、接種完了者に対する追加接種(ブースター接種)者におけるBA.1およびBA.2による一次感染のORは、それぞれ0.65(95%CI 0.58~0.73)、0.80(同0.67~0.94)と有意に低く、二次感染についても0.77(同0.70~0.88)、0.79(同0.64~0.98)といずれも有意に低かった。

 次に、BA.2による感染リスクを検討。BA.1に対するBA.2の一次感染のORは、ワクチン非接種者で2.19(95%CI 1.58〜3.04)、接種完了者で2.45(同1.77〜3.40)、ブースター接種者では2.99(同2.11〜4.24)と、いずれもBA.2で感染力が有意に高かった。

 しかし、BA.1に対するBA.2による二次感染のORは、非接種者で2.62(95%CI 1.96〜3.52)と有意に高かったものの、接種完了者およびブースター接種者ではそれぞれ0.60(同0.42~0.85)、0.62(同0.42~0.91)と、いずれも有意に低かった。

 以上の結果を踏まえ、Lyngse氏らは「BA.2による感染リスクはBA.1に比べて高く、BA.2がSARS-CoV-2ワクチンの予防効果をさらに低下させる免疫逃避の性質を備えていることが示された。ただし、ワクチン接種完了者とブースター接種者では伝播リスクが低く、ブレークスルー感染したワクチン接種者からの伝播リスクは上昇しないと考えられる」と結論。「これらの知見は、SARS-CoV-2感染予防にはワクチン接種が依然として重要であることを示唆するものである」と述べている。

(宇佐美陽子)