ノルウェー・Norwegian Institute of Public HealthのMaria C. Magnus氏らのグループは、妊娠前のBMI、飲酒、喫煙状況が流産に及ぼす影響を前向きに観察し、結果をBMC Pregnancy Childbirth(2022; 22: 169)に発表。肥満と過量飲酒が流産に影響することを報告した。

2万6,592件を解析、流産は19%  

 妊娠女性の12~15%が流産し、その50%超は遺伝性要因とされるが、修正可能なライフスタイルが流産に及ぼす影響を前向きに観察した研究は少ない。そこで、Magnus氏らはオーストラリア在住の女性の健康を前向きに観察したコホート研究Australian Longitudinal Studyを実施し、妊娠前のBMI、喫煙、飲酒が流産に及ぼす影響を検証した。  

 対象者とその妊娠件数は、同研究の登録者のうち、ベースラインとその後2度のライフスタイル関連の質問票に回答でき、その間に1回以上妊娠した9,213人の述べ2万6,592件とした。妊娠転帰の内訳は、通常出産67.8%、死産0.5%、中絶11%、医学的理由による中絶3%未満、流産19%であった。

 通常出産/死産、流産、中絶の転帰別に見た妊娠前の主な患者背景は、平均年齢がそれぞれ27.9歳、28.5歳、25.5歳、過去の妊娠歴は0回が39.0%、19.1%、35.4%、1回が31.6%、24.7%、20.7%、2回以上が29.4%、56.1%、43.9%などで、流産では通常出産/死産と比べ平均年齢が高く、妊娠経験・回数とも多かった。

 また、通常出産/死産、流産、中絶の転帰別に見た喫煙状況は、喫煙経験なしがそれぞれ56.0%、51.1%、37.5%、喫煙者では10本未満/日がそれぞれ7.3%、8.0%、13.3%、10~19本/日が5.4%、7.2%、10.7%、20本以上/日が3.4%、4.4%、7.2%、BMIに基づいた低体重が4.1%、4.3%、5.6%、通常が52.8%、52.1%、56.0%、過体重が19.4%、21.1%、17.3%、肥満が11.2%、14.9%、10.2%、不明が12.4%、7.2%、10.9%、アルコール20g/日以上を過量飲酒と定義した飲酒状況は通常が84.2%、84.8%、85.3%、飲酒習慣なしが11.9%、9.6%、6.3%、過量飲酒が3.2%、4.9%、7.5%だった。

喫煙は用量依存性の関係が認められず  

 中絶を除外して、妊娠前のBMI(参照として正常)、喫煙(同喫煙経験なし)、飲酒(同通常)が流産に及ぼす影響を検証した結果、年齢、婚姻状況、教育レベルなどを調整後のリスク比(RR)は、肥満が1.13(95%CI 1.05~1.21、P=0.001)、過量飲酒1.15(同1.03~1.28、P=0.02)で、喫煙は10~19本/日が1.13(同1.02~1.25、P=0.02)だったものの、20本以上/日は有意差が認められなかった(RR 1.07、95%CI 0.94~1.21、P=0.3)。また、飲酒習慣なしでは流産リスクの有意な低下が認められた(RR 0.82、95%CI 0.75~0.89、P<0.001)。  

 中絶したもののうち、その後流産した可能性などを考慮し、中絶件数の50%をランダムに組み入れて、同様に妊娠前のBMI(参照として正常)、喫煙(同喫煙経験なし)、飲酒(同通常)が流産に及ぼす影響を検証した結果、前述の肥満(RR 1.15、95%CI 1.07~1.24、P=0.001)、過量飲酒(同1.13、1.01~1.27、P=0.03)、飲酒習慣なし(0.84、0.77~0.92、P<0.001)のRRはおおむね変化がなかったものの、10~19本/日の喫煙では1.09(同0.98~1.21、P=0.1)と有意差が消失していた。  

 以上の結果を踏まえ、同グループは「妊娠前の肥満と過量飲酒により、流産リスクはやや上昇していた。一方、喫煙と流産リスクについては用量依存性の関係は認められなかった」と述べている。

(編集部)